サンディスクで2/3の売り上げを占めるコマーシャルビジネス製品

サンディスクは5月11日、同社のPCIeアプリケーションアクセラレーターとして、初のサンディスク製NANDフラッシュメモリを採用した「Fusion ioMemory SX350」(以下、SX350)を発表した。6月1日より販売パートナー経由で出荷を開始する。

Fusion ioMemory SX350

サンディスク エンタープライズセールス ディレクターの奥村英記氏

同日の記者説明会ではまず、サンディスクの奥村英記氏がエンタープライズビジネスについて説明。サンディスクの事業は、コンシューマー向けのリテール製品と、OEMやエンタープライズ向けのコマーシャルビジネス製品に大別される。

金額ベースでは67%がコマーシャルビジネス製品であり、その視点で見るとサンディスクはエンタープライズ向けの企業になっているとした。

さらにコマーシャルビジネス製品は、エンタープライズ向けストレージ、デスクトップ向けストレージ、モバイル向けストレージの3つに大別される。もう一段細かくすると、エンタープライズ向けストレージは、PCIe、SAS、SATAという3つのインタフェースにおいて、4カテゴリの製品を出荷している(SATAがサーバー向けとデスクトップ向けで2カテゴリある)。

サンディスクの紹介。特許の数が多いだけでなく、トムソンロイターのGLOBAL INNOVATORSも毎年受賞中

現在のフラッシュ製品群。金額ベースではコンシューマー製品の占める割合は約33%

特に急成長しているのが、PCIe接続のマーケットだ。市場調査によると、エンタープライズ向けストレージは金額ベースで年平均18%の成長を遂げているが、その中でもPCIeは22%と高い。平均価格が低下したこともあり、台数ベースでは年平均40%とさらに高く、PCIe製品は非常に高い伸びを示している。

サンディスクは2014年にFusion-io社を買収したものの、Fusion ioMemory製品にはサンディスクが製造したNANDフラッシュメモリが使用されていなかった。今回の新製品において、サンディスク製NANDフラッシュを採用することとなった。

サンディスクのエンタープライズ向けストレージは4カテゴリを展開中だ

今回の発表を含むPCIeストレージのカテゴリは急速に拡大中。プレゼンではあまり触れられていなかったが、台数ベースの伸びは2013年以降倍々と言えるほど大きい

新製品となるFusion ioMemory SX350は、PCIe製品でもコストパフォーマンス重視の製品。ハイエンド製品としてPX600シリーズもある。なお、SX350は第三世代のリフレッシュ版という位置付けだ

大幅なコストパフォーマンスを実現したSX350

次に、サンディスクの山本哲也氏が、SX350の詳細な内容と主な市場について説明した。

サンディスク エンタープライズセールスマーケティング シニアマネージャーの山本哲也氏

SX350の特徴。高パフォーマンス、大容量だけでなく、低エラー発生率が魅力となる

「実物はこんな感じ」と、ロープロファイルボードを見せる山本氏。ただし、これはSX350ではなく今後も併売するSX300。技術の方に伺ったところ、Fusion ioMemoryでは東芝やサンディスク製のNANDフラッシュメモリをなぜか使っていなかったらしい

SX350は、一般的なSSDで使われているSATAではなくPCIe接続であるため、3ケタ以上の低遅延であり、高パフォーマンスが出せるとのこと。サンディスクの1Ynm MLCチップを採用しており、コストと性能アップを狙っている。前世代のioDrive2と比較して、リード2倍(257%以上)、価格最大61%減(1.3TB製品)と、コストパフォーマンスの大幅アップを実現した。

PCIeにメモリを取り付けることで、SATAやSASでは実現できない低レイテンシーを実現する。DMA転送でやり取りも速い

前世代のioDrive2比で圧倒的なハイコストパフォーマンス。ただし、SX300比で見るとパフォーマンス面での向上はあまりない。第三世代のリフレッシュと考えたほうがよいだろう

SX350は四日市工場(サンディスクと東芝のパートナーシップ)で製造された、1Ynm MLC NANDフラッシュメモリを採用。これによってコストを大幅に削減している

新しい分野でありつつ、8年の実績を持つというのがFusion ioMemoryの特徴。実績を重視する日本市場では強みだ

アプリケーションの遅れが致命的になる例。金融マーケットでの事例では、株や為替取引はミリ秒単位の高速性を要求される

価格、容量、性能の3つの軸で見た場合、今回の製品は性能重視だ

また、Fusion-io社は2008年からPCIeマーケットに参入しており、世界での顧客数は7,000社以上、出荷数も25万枚を超える実績を持つ。さらに他社を凌駕する低エラー発生率(UBER)により、1,000枚を運用しても、理論上は1年間に1回しか致命的なエラーが発生しない。よって、運用保守コストも抑えることができるとした(一般的なエンタープライズ向けグレードのエラーレートの場合、同じ条件だと1時間に1回エラーが発生)。Fusion ioMemoryのユーザーサーベイでは、Microsoft SQLやOracle databese、MySQLといったデータベースでの利用が圧倒的に多く、国内でもmixi、Brain Pad、dwangoでの導入事例があるという。

2014年のユーザー調査結果。二位の仮想デスクトップ以外はすべてデータベース関連だ

ストレージの高速化のためにRAIDを組んでいたが、多数のHDDを動かすことによる故障率の上昇、および保守費用を考えるとフラッシュストレージに理がある

故障率に関して、Fusion ioMemoryは通常のエンタープライズグレードよりも3~4ケタ低いエラーレートを設定。1,000台を動かしてもエラーは1年に1回程度なので、エラーが原因のロスも抑えられる

海外での導入事例。こちらは導入によって多くのユーザーに迅速に対応できる

学術利用の例。多くのデータを2カ所の拠点で扱うため、転送速度が重要視された

国内での導入事例。OEMでの利用が多いので、名前が出せる事例が少ないことで困っているようだ

新製品のまとめ。低いエラーレートによって保守サポートとリカバリ費用を減らせるという。1枚当たりでは最大6.4TBだが、複数カードをまとめて利用すれば容量を上げることができる

最後に奥村氏が日本でのビジネス展開について触れた。日本では400社以上1万枚を超える出荷実績があり、想定しているトップ企業の90%にはリーチしている一方、日本では採用事例の少ないMicrosoft SQL、VMwareでの利用実績を上げ、さらに今まで想定していなかった幅広い顧客にSIerと協業して顧客開拓に努めたいと述べた。

2010年以降の日本国内での採用実績も多い

今後の展開としては実際のアプリケーションと組み合わせたSIer等とのアライアンスの強化、そして今までと違う顧客へアプローチを図るという

アライアンスの強化では世界では利用が多いのに日本では利用が少ないMicrosoft SQL Serverに注視しているという

既存の顧客の利用は高いため、違う顧客へアピールしたいようだ