筐体を新規に作ればよかったのか
ここで筐体などを新規に作るという可能性はあった。しかし、その選択はなされなかった。それには大きなコストが必要だからだ。筐体などのプラスティック部品を作ることは、金型などの高価な製造設備が必要となるため、最低でも数万台以上というかなり大量の製品を作らねばならなくなる。1億円の製造設備が必要だったとして、これで1000台しか製品を作らなければ、1台当たり10万円を負担せねばならなくなる。1万台として1万円である。
これはあくまでも原価。製品価格に反映させると1万円では済まない。もちろん、部品代やその他の製造コストなども必要になる。つまり、VAIOフォンと同程度のスマートフォンよりも、かなり高くなってしまう。
おそらく、価格ターゲットや想定している企画台数(何台程度は製造して販売するか)から、新規筐体デザインは諦めざるを得なかったのであろう。それで、既存の製品をほぼ使うという選択になったと思われる。ただ、単体で5万1千円という価格は、SIMフリースマートフォンとしては、かなり高額な部類。だったら何か1つぐらいは「光る」部分が欲しかったと思うのも人情かもしれない。
ガッカリ感の大きな原因は、前述したように、事前のプロモーションにあった。箱だけ見せておいて、期待をつり上げるというやり方は、この手の製品に対して適切ではなかった。そもそもVAIOというブランドが必要だったのかという疑問も残る。