カシオ計算機がリリースしたスマートフォン向けアプリ「撮ってキャラスタジオ」は、撮影した人の顔を元にキャラクターを自動作成してくれるアプリ。一見、ゆるい楽しそうなアプリだが、実は高度な技術を使っているという。今回、同アプリを企画・開発したカシオ計算機コンシューマ 事業部企画部第二企画室室長の北條芳治氏とコンシューマ事業部企画部第二 企画室の青木信裕氏に話を聞いてきた。

カシオ計算機コンシューマ 事業部企画部第二企画室室長 北條芳治氏(左)とコンシューマ事業部企画部第二 企画室 青木信裕氏

―― 撮ってキャラスタジオは、どういったアプリなのでしょうか?

北條氏 スマートフォンのカメラで撮影した顔写真をもとに、キャラクターを自動生成できるアプリです。写真に写った「顔」を解析して「雰囲気を似せた顔」のキャラクターを生成することができます。

撮ってキャラスタジオの利用イメージ。自分や友人の顔写真を気軽にキャラクター化できる

着ている服やポーズ、アイテム、コメントが異なる21パターンの画像を生成できる。21パターンの画像のうち6つは4月30日まで無料でダウンロード可能(5月からは3つまで)。残りは有料となる

―― 作成したキャラクターの用途について教えてください。

北條氏 FacebookやTwitterなどのソーシャルサービスで利用したり、電話帳のプロフィール画像として使うことができます。LINEスタンプのように使うことも可能です。また、年賀状やプレゼン資料にも使えると思います。

さらに、カシオのスタンプメーカー「ポムリエ」との連携利用も可能です。撮ってキャラスタジオで生成したキャラクターのデータをポムリエ送って、実物のスタンプを作成することができます。

―― 撮ってキャラスタジオで実際にキャラクターを作ってみましたが、被写体の雰囲気が出ていますね。

青木氏 基本的には"ゆるい"アプリなんですが、キャラクターを作成するまでに、複雑な処理が行われています。顔写真の目や鼻の位置、大きさを分析し、あらかじめアプリにストックしてあるイラストのパーツと照合。各パーツの大きさや配置を調整し、分析した顔写真に似せたキャラクターを作成しています。パーツのストックには限りがありますが、大きさや配置を細かく調整するので、無限大と言ってよいほどのキャラクターが生成できます。

北條氏 デジカメで培った顔検出技術が生きています。"似ている"キャラクターを作るために、通常の顔検出機能とは比較にならないほど細かいポイントを抽出しているんです。目や鼻のかたちや口の開き方、唇の厚さまで様々な部位を抽出しています。

また、似顔絵として"あまり似せていない"という点もポイントです。実は、"似すぎていると"周囲の人は喜んでも、本人が嫌がる傾向にあるんです。なので、撮ってキャラスタジオのキャラクターは、「かわいい」「カッコイイ」を第一に、次いで「個人の特徴的な部分」を反映するよう開発しています。

―― 撮ってキャラスタジオの今後について教えてください。洋服やポーズなどの追加などは考えていますでしょうか?

北條氏 女性向けはコスチュームのバリエーションを用意するなど、様々な展開を考えています。また、海外ユーザー向けの展開も考えています。どうぞご期待ください。

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撮ってキャラスタジオは、スマホのカメラで撮影した写真を使って簡単にキャラクターを作成することができる。気軽に使える同アプリだが、本稿で紹介した通り、カシオの高度な技術により、"似ている"キャラクターが作られているのだ。

ちなみに筆者としては、著名な漫画家やイラストレーターがデザインしたものなど、キャラクターのバリエーションが楽しめるとよいと思う。例えば、ゴルゴ13とか北斗の拳風のキャラクターができるとうれしい。このあたりをお二人に聞いたところ「アプリが広まったらそういう構想はありえると思います」とのこと。本稿を読んで、撮ってキャラスタジオに興味を持ったという方は、ぜひダウンロードしていただきたい。

(執筆:三谷真)