iPhoneは医療研究との関係を深める

続いてiPhoneについて。これまでに7億台を販売したというiPhone 6/6 Plusは顧客満足度99%と驚異的な数字を挙げており、業界水準の約2倍という成長を遂げ、販売台数世界一のスマートフォンになったと紹介した。Apple Payについても、カードを取り扱う銀行は2,500、Apple Payの支払いに対応する商業チェーンも29から84へと約3倍に増えたという。

コカ・コーラの自販機もApple Payに対応する。自販機でクレジットカード決済するというのは日本ではなかなか考え付かない情景だ

次にiOS 8で追加されたCarPlay、HomeKit、Healthについて触れ、CarPlayは主要自動車メーカー全車が対応を表明したこと、HomeKitは1月に開催されたCESで対応製品が多数展示されたことが紹介された。そしてHealthについては、医療研究分野への協力のためのフレームワーク「ResearchKit」を公開した。

新しいフレームワークとして「ResearchKit」が登場。iPhoneと「Health」で収集したデータを使った研究向けアプリを容易に開発できるようにするための仕組みだ

ResearchKitの開発では世界中の著名な医療研究機関と協力している。日本の研究機関が含まれていないのはちょっと残念

パーキンソン病、糖尿病、心血管疾患、ぜんそく、乳がんの研究向けのアプリが公開された。それぞれ簡単なチェックでデータを取得・送信できる

ResearchKitが収集するのは、簡単に言えば「医療向けのビッグデータ」だが、いわゆるビッグデータにまつわる問題としてしばしば挙げられる「プライバシー」が重視されているのが最大の特徴となる。ユーザーは勝手にデータを採られるのではなく、自分の意思で許可したときにのみ提供され、アップルは収集されるデータを閲覧できない。また、ResearchKitはオープンソースとして提供されるので、本当にアップルがデータを見ていないのか、セキュリティは確保されているのかを第三者が確認できる。アップルはビッグデータのマネタライズに参加していないということで、企業としての姿勢をアピールした形だ。

Apple Payのときと同じく「アップルはデータを見られない」ことを強くアピール。アップルが顧客のプライバシーを大事にする会社であることを表明している