シャープは2月13日、大阪市内で、同社の液晶事業への取り組みについて説明を行った。同社が発表した2014年度第3四半期決算では、液晶事業の減速感が際立った格好になったが、今回の説明では、それを補足するとともに、同社が開発中の技術をあらためて公開する場とした。

中国スマホ市場の変調が原因

同社の第3四半期における液晶事業の実績は、売上高は前年同期比14.2%減の2380億円、営業利益は55.9%減の114億円と減収減益になった。タブレット向けの中型液晶市場の需要拡大が遅れたこと、中国スマートフォン市場の環境変化が影響。亀山第2工場における中小型比率は当初の見込みを下回り、35%の構成比に留まった。利益率の高い中小型液晶ディスプレイへのシフトが遅れ、想定の利益を確保できなかったことが原因だ。

シャープ液晶事業の第3四半期決算

シャープ 代表取締役専務執行役員デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏

「中国スマートフォン市場における流通在庫の増加により、競争が激化した。パネル価格の下落、高精細市場の立ち上がりの遅れによるモデルミックス悪化などの影響が出た。市場の急激な変化への対応が遅れた点が反省点」だと、シャープ 代表取締役専務執行役員デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏は語った。

また、「中型パネルの落ち込みを小型パネルで補おうと考えたが、台湾のタッチパネルメーカーが破たんしてことでサプライチェーンが途切れ、調達が遅れた。これにより、中型パネルの落ち込みをカバーできなかった」と振り返った。

中国最大手スマホメーカーのシャオミへの液晶パネル供給がジャパンディスプレイに移行し、シャープの液晶ビジネスに大きな影響を与えた点も見逃せない。ただし、「中国スマホ市場においては、シャープが一人負けのような形で報道されている部分もあるが、そうとは思ってない。オセロがひっくり返るような状況にはなっていない」(シャープ・方志代表取締役専務執行役員)という。

さらに、今回の業績を受けて、2014年度通期の見通しを下方修正。売上高は10月公表値に比べて300億円減の9700億円、営業利益は150億円減の400億円とした。だが、「2013年度の営業利益実績から、特許や技術指導などのエンジニアリング収入を除いたベース値からは1.5倍の着地になる」と説明。計画値には達していないものの、液晶パネルそのものでの利益を確保していることを強調した。

営業利益の変動要因

IGZO液晶やインセルタッチパネルがカギ

今後はタブレットやPC、モニター向け中型パネルの新規顧客開拓と拡販によって、亀山第2工場における中小型液晶パネルの生産比率を50%に高めることで収益性を改善するという。方志代表取締役専務執行役員は「液晶事業の構造改革は2年前から開始しており、中小型をフレキシブルに生産にできる体制をすでに構築している」と述べた。

また、中国市場での競争優位性確立に向けて、中国・華南地区での営業体制の強化、IGZO液晶のさらなる高付加価値化とコスト革新の実現、インセルタッチパネルの早期量産化などに取り組む姿勢をみせた。

曲面ディスプレイも高付加価値製品のひとつ

第3四半期決算発表の場では、高橋興三社長が、「インセルタッチパネルの量産化は今年夏になる」としていたが、今回、方志代表取締役専務執行役員は、「6~7月になる」と時期を明言した。

インセルタッチパネルは、タッチ機能を液晶パネルに内蔵する技術で、従来のように液晶パネルの上にタッチパネルを貼り付ける方式に比べて、モジュールを薄型軽量化できるのが特徴。タッチパネルを外付けしないためコストダウンが可能になる。だが、その一方で、歩留まりが悪く、画面サイズの大型化が難しいこと、ノイズ対策の難しさや開口率の低下が表示性能に影響するといった課題があった。

シャープでは独自アルゴリズムの採用により、競合他社の技術に比べて大型化を可能とし、17型程度の大きさにまで対応できるという。さらに、今回説明したインセル技術とは異なるが、独自のノウハウを採用したフリー・ドローイング技術により、100型までの大型ディスプレイや4K2Kディスプレイにまで、タッチ技術を効率的に埋め込むことができる。

「シャープのインセル技術は、中型サイズやWQHDの高精細まで展開が可能である点が特徴。また、大型ディスプレイでは当社独自のフリー・ドローイング技術によって、操作性を革新し、新たな市場開拓に取り組むことができる。液晶パネルにUI技術をシステムインテグレーションすることで、1~100型まで、また、HD720~4K2Kまでの付加価値がある液晶パネルを幅広く提案していく」。また、「インセルタッチパネルは、ほとんど追加投資がなく生産できる。三重工場や亀山第2工場、天理工場でも生産でき、既存顧客向けに加えて、新規顧客向けにも提供していく」とした。

インセルタッチパネルの特長など