T-Mobileの躍進

普段私は米国でスマートフォンを使っています。米国のスマホ市場の話題からも一つ選ぶとT-Mobile USAの躍進です。日本ではソフトバンク傘下のSprintが買収するかと報じられて話題になりましたが、今や第4位のT-Mobileが第3位のSprintを抜きそうな勢いです。T-Mobile躍進の理由は、同社が展開するUncarrier戦略の効果です。コントラクト・フリー、国際ローミング無料化、iPhoneの1週間試用プログラムなど、スマートフォン・ユーザーの不満を解消するサービスを次々に打ち出すプログラム。言い換えると、上位3社から契約者を奪うプログラムです。実際、消費者に脱・トップ2(Verizon、AT&T)の意識を植え付けるのに成功しています。

ただ、UncarrierでT-Mobileが打ち出しているサービスは何れもトップ2のすき間を狙ったものです。つまり、米国でスマートフォン契約者が飽和に近づき、下位のキャリアが出血覚悟のサービスを上位キャリアにぶつける契約者の奪い合いが始まったのです。これはPCの過度な低価格化に似た競争であり、MacBook AirやSurface ProのようなPCを進化させる製品が出てくるのとは別次元の競争です。Uncarrierの延長で将来T-Mobileがスマートフォン・ユーザーのライフスタイルを変えるような変化を生み出せるかというと、残念ながら疑問符が付きます。