ソニーは25日、モバイル・コミュニケーション分野における中期経営計画について発表した。その基本方針を、「事業環境の変化に対応するために、構造改革を推進し、集中と選択を行う」こととし、2016年度までにOPEX(事業経費)を約30%削減、粗利率を2~3%削減する考えを明らかにした。今後、製品数の絞り込みや部品の共通化などを図り、1モデルあたりの収益効率性を高めるという。

ソニーモバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長兼CEOの十時裕樹氏

ソニーモバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長兼CEOの十時裕樹氏は、「規模を追求するのではなく、モデル数の厳選、1モデルあたりの経営資源の集中による収益効率化を図るとともに、安定的に利益を計上できる構造を作るために改革を推進する。売上高が20~30%落ちても収益を確保できることを目指す。2015年度には構造改革を実施し、このトランスフォーメーションを12カ月で完了する。2016年度以降に安定的な収益を生み出すことを目指す」とした。

なお、2017年度の経営数値目標や、構造改革のロードマップについては、今後詳細を策定し、2014年度中に発表するとしている。

2014年度通期見通しについて

モバイル・コミュニケーション事業は、ソニーのコア事業のひとつとして位置づけられるものの、新興国市場における事業不振などを背景に、2014年度第1四半期(2014年4~6月)の営業損失は前年同期比153億円減の27億円の赤字に転落、スマートフォンの年間出荷計画を、年初の5000万台から4300万台へと一度下方修正したあとに、10月時点で4100万台へとさらに下方修正することをこれまでに発表していた。

また、7月から同事業の中期経営計画の見直しに着手するなかで、1,760億円の営業権の減損処理を行うことを発表し、2014年度通期見通しも売上高で期初計画値に比べて1,800億円減の1兆3,500億円、営業損失は2,040億円の赤字への下方修正を発表していた。さらに、11月16日付けで、十時裕樹氏がソニーモバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長兼CEOに就任する人事を発表し、新体制での事業再生に乗り出す姿勢を示していた。

同社では、2014年度通期見通しの営業利益の減少要因として、米ドル高の悪影響、マーケティング費用や研究開発費、特許費用の増加、構造改革費用の増加などのほか、低・中価格モデルの販売減をあげており、「高価格帯モデルを中心に増収を実現するものの、東南アジアや中国、欧州を中心に、中価格帯の販売計画を大幅に見直し、費用の削減を図ったが、期初の利益計画から損益状況は大きく悪化した」(十時社長)という。