高価格帯でのポジションの確保が重要に

現在、ソニーモバイルでは、市場環境を次のように分析する。スマートフォン市場の2017年度までの市場成長率は台数ベースでは、出荷価格で1万4,000円以下の低価格帯の製品が年率17.5%ともっとも高い伸びを示し、市場構成比は56%に達すると予測しているが、販売金額ベースでは、2017年の市場構成比では、3万円以上の高価格帯の製品が55%と依然として過半数を占めるとみている。「まずはここできちんとしたポジションを確保することが大切だ」と十時社長は語る。

また、地域別にみると、2017年度でもっとも市場規模が大きいのは中国市場だとするが、年成長率は2.2%と鈍化。日本や欧米と成長率は変わらないと予測する。その一方で成長市場となるのが、アジア太平洋地域であり、ここでは低中価格帯の製品が過半数を占める。

そして、2014年度における全世界のスマートフォン市場の27兆5,000億円のうち、オペレータルートによる市場規模は14兆4,000億円、オープン市場では13兆1,000億円とし、2017年度もこの構成比はほぼ変わらないとする一方で、オープン市場の低価格帯での成長が高いことを指摘する。だが、十時社長は「当社が事業を推進するのは、オペレータ市場のなかでの中・高価格帯という成熟市場である。そのため市場の成長にあわせて、数字を追うのではなく、利益率を高め、安定した収益を確保することを優先していくことになる」と基本的な姿勢を示した。その上で、中期事業方針として、4つの「集中と選択」を打ち出す。