ソニーは11月18日、投資家やアナリスト向けに経営の取り組みを説明する「Sony IR Day 2014」を開催。オープニングスピーチで代表執行役の平井一夫社長兼CEOが登壇し、エレクトロニクス事業の構造改革の進捗状況などを語った。
平井社長はまず、モバイル・コミュニケーション(MC)分野における営業権の減損により、2014年度第2四半期(2014年7月1日~9月30日)で△1,360億円の四半期純損失(四半期単独)を計上したことを株主に謝罪するとともに、「長年続けてきた配当を無配とすることは大変重く受け止めている」と、早期の復配を目指す姿勢を改めて強調した。
平井社長は2014年5月の経営方針説明会において、自身の就任3年目であり第一次中期計画最終年となる今年度(2014年度:2014年4月1日~2015年3月31日)を「構造改革をやり切る年」と声高に宣言したが、今回もその姿勢を改めて強調。「財務体質を改善して2015年度からの3年間に成長フェーズに移行し、持続的に収益を上げられる企業に変容するために、問題を先送りしないことを社内に徹底してきた」と、PC事業の終息、テレビ事業の分社化、本社および販売会社のコスト削減などに取り組んできた点をアピールした。また、「期初に計画した施策については順調に進捗している」と、構造改革により次の成長を可能にする体質に変わってきていることについても理解を求めた。
MC分野では営業権の減損により△1,747億円という巨額の営業損失(セグメント単独のもの)を計上した一方で、他のセグメントを含めてみていくと「MC分野とその他分野以外では、前年同期比で全セグメントが収益改善している」とコメント。なお、その他分野の営業損失は、PC事業(VAIO)の終息に伴う費用を計上したことによるものだ。
ただし、平井社長は「改善しているとはいえ、エレクトロニクス事業の利益レベルはまだまだ低い」と、いっそうの構造改革を進める姿勢を示した。
不振が懸念されるMC分野については、11月16日付でソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOに十時裕樹氏が就任したことを紹介。「新経営体制で収益構造の安定化のため、変革にスピード感を持って取り組む」と新社長の手腕に期待を寄せた。また、モバイル事業がソニーにとって最大規模の事業であり、「リスクをコントロールして安定的な収益基盤を構築することが喫緊の経営課題だ」ともコメント。モバイル事業できっちりと利益を獲得できる体制作りに意欲を見せた。
平井社長は最後に、「ソニーのミッションは、商品やコンテンツ、サービスを通じてお客様に感動してもらうことだ」との言葉で締めくくった。