スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「プッシュ・トゥ・トーク」についてです。

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誰かと電話で話すときには、相手の番号にダイヤルして呼び出し音を鳴らし、相手が応答してはじめて「通話」が成立します。しかし、ただ用件を伝えたいとき、留守番電話サービスを契約していない相手を呼び出すときには、相手の応答を待たずトランシーバーのように話しかけることができれば好都合です。

「プッシュ・トゥ・トーク(Push-to-Talk、PTT)」は、そのような使い方を可能にする機能です。明確な定義はありませんが、話しかけたい相手を選びボタンを押しながら話すことで、相手の音声メッセージを届けることができます。ボタンを押している間しか話すことはできず、会話するためにはボタンを押したり離したりすることになりますが、通常の音声通話のように一定の帯域を確保する必要はなく、インターネット回線を利用したデータ通信として処理できるメリットがあります。同時に複数人へ音声データを送信する1対多型のコミュニケーションも可能です。

海外では比較的ポピュラーな通話サービスですが、日本ではあまり利用されていません。かつては日本の携帯電話会社も「プッシュトーク」(NTTドコモ)や「Hello Messenger」(au/KDDI)、「S!一斉トーク」(ソフトバンク)といったPTTサービスを提供していたものの、2014年10月現在すべて終了されています。機能そのものよりも、通信規格が標準化されず異なる携帯電話会社間では接続できないなど、相互運用性に難があったことが普及を妨げたのかもしれません。

しかし、スマートフォンアプリの機能としてPTTが提供されるようになり、携帯電話会社のサービスに頼る必要はなくなりました。たとえば、iOS版とAndroid版が提供されているIP電話アプリ「Viber」には、PTT機能が搭載されており、無償で利用できます。

「プッシュ・トゥ・トーク(PTT)」サービスを提供する日本の携帯電話会社はなくなりましたが、「Viber」など同等の機能を持つアプリを利用すれば、ほぼ同じ使い方が可能です

(記事提供: AndroWire編集部)