ウェブもしばらく、文字の世界

スマートフォンによって最も進化した情報の記録方法は、おそらく写真、画像だろう。アプリによって、撮影した写真から文字認識を行うことができ、名刺であれば電話帳に情報を保存でき、また文書であれば検索可能な形で保存することができる。

しかし、保存された電話帳や文書内を「検索」する際に用いるのは文字だ。そしてこの文字は、何らかの形で入力しなければならない。

ウェブ上でも、記事や情報はニュースサイトもブログも含めて依然テキストが中心であり、LINEやFacebookなどのメッセージもまた文字が中心で、それを装飾する写真やスタンプがついてくる。もちろん今後、スタンプだけで会話を完了させることもできるようになると期待しているが、当面は文字の重要性は変わらないか、スマートフォンによってたくさんの文字を読み書きするようになった。

特に日本語は文字の種類も膨大であり、入力に対してより強くこだわりを持って、生産性や楽しさを向上させていく必要がある言語だ。予測入力も日本のケータイが先行していたことを考えると、iOS 8向けのキーボードで、世界をあっと言わせる入力方法が出てくるのも、日本かもしれない。

また、言語の伝達で文字よりも直接的な「声」には、全く新しいスマートフォンと人との関わり方として注目しておきたい。Siriなどの音声アシスタントは声で操作する。前述の通り、声での文字入力は実現しているし、メッセージアプリでは声を直接届けるコミュニケーションを作り出している。

スマートフォンに情報を「入力する」手段として、より現実的なものになっていき、文字とともに日常的に使われるようになっていくだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura