これを考えると、新型iPhone (おそらくは"iPhone 6"とみられるもの)の今年2014年末までの生産台数目標が7000~8000万台とすれば、その1.0~1.3倍程度がAppleの考える2015年度第1~2四半期の半年での新型iPhone販売目標だと予測される。

旧モデルの販売継続や、2つの新型モデル以外の製品の可能性(前回でいうiPhone 5cに該当する製品)の存在を考えれば、新型iPhoneにおける販売台数は前年並み、あるいはそれに若干上乗せしたくらいの水準が予想される。比較的コンサバティブな数字だと筆者は考える。

ただWSJによれば、昨年の同タイミングでのオーダー水準は5000~6000万台程度であり、それよりは大幅に上乗せされた数字となっている。実際、初期のiPhone 5sは品不足が各地で目立ち、特にゴールドモデルについては年が越えるまで入手が難しかったなど、Appleが需要を読み間違えた部分が大きかった(特にiPhone 5cに関するニーズを読み間違えたといわれている)。

なおWSJによれば、歩留まりの悪さを考えてディスプレイメーカーには年内までに1億2000万個のオーダーを出しており、それ以外の部品のサプライヤについても年内までに9000万個のオーダーで発注をかけているという。年内の売れ行きをみて、追加発注をかけるまでの新型iPhone生産台数の上限値がこのあたりにあるとみられる。

先進国でのスマートフォン需要が一段落つくなか、新型iPhoneの登場はスマートフォンならびにiPhoneの今後の可能性を探る試金石的な意味合いが強く、Apple側も出方をうかがっていると考えられる。数字的には無理のない水準とみられるが、もしこれでiPhone販売が予想水準に届かなかった場合、業界全体の受けるダメージは非常に大きなものになるかもしれない。