――今回はどんなマーケティングメッセージで展開するのですか。

樋口氏 Surface Pro 2と同じく、「これさえあれば、何もいらない。」というメッセージを継続します。ただ、そのうえでMacBook ProのパフォーマンスをMac Book Airの軽さで実現するのが、Surface Pro 3であるということも訴求していきたいと考えています。とくに、11~13型ディスプレイを搭載したデバイス領域は、アップルが強いですから、そこに向けて、Surface Pro 3のよさを訴えていきます。

――これはアップルユーザーを置き換えていくという戦略になりますか。

樋口氏 アップルユーザーを置き換えるのはかなりコストがかかる。これまでのSurfaceのキャンペーンを通じて学んだことでもあります。ですから、Macからの乗り換えを考えているわけではありません。狙っているのは、MacBookの購入を検討している方々。つまり、購入の一歩手前のところで、Surface Pro 3の軽さ、薄さ、パフォーマンス、デザイン性を訴えたいと考えています。

Surface Pro 3の発表会では、このようにMacBook Proよりも軽いことをアピール

Windowsを使っていたユーザーが、MacBookへの乗り換えを検討したときに、Surface Pro 3であれば、いままでのアプリケーション資産や周辺機器の資産、さらには業務ソフトウェアのような法人向けアプリも、そのまま使えますし、Officeもプリインストールされている。MacBookに行かなくても、Surface Pro 3があるよ、という提案をしたい。

また、その一方で、Surface Pro 3でもうひとつのターゲットとしているのは、Windowsのコアユーザーであると考えています。これまでのSurfaceでは、女性や学生などの初めてタブレットを購入する新規顧客層がターゲットでしたが、Surface Pro 3では、15型のノートPCを使っていたユーザーなどに、PCを新しく買い替える際の選択肢のひとつに位置づけてもらいたいと考えています。

上位モデルではCore i7を搭載する

個人向けのSurface Pro 3にはOffice Home and Business 2013が付属する

――捉え方によっては、Windows搭載PCからの置き換えともいえます。OEMベンダーとの競合というようにも受け取れますが。

樋口氏 それは違います。Surfaceは、Windowsタブレット市場全体を活性化し、国内ではタブレット市場の30%をWindowsタブレットが占めるようになった。この構成比はSurfaceがなければ成しえなかったといえます。Surfaceが訴求してきたのは、Windowsはタブレットとしてもしっかりと使えるという点です。Surfaceがこの市場を切り拓いたからこそ、その後、OEMベンダーから登場した2in1パソコンや8型タブレットが人気を博した。それと同じことをやろうとしています。

WindowsユーザーをSurfaceによってひっくり返すのではなく、市場全体を活性化していく。11~13型の領域において、Surface Pro 3以外にも、OEMベンダーから新たな2in1製品が登場したり、画面サイズが異なるタブレットが登場することで、Windows PCおよびWindowsタブレット市場全体が活性化できると考えています。多くのメーカーが優れた製品を出すことが市場全体の活性化につながる。一部には切磋琢磨する部分もあるでしょうが、Windows市場全体の拡大を目指すという点では、これまでも、これからも変わりません。

――まだ、Windows XPを使用しているユーザーも多いですね。これらのユーザーの受け皿として、Surface Pro 3を位置づけることは考えていませんか。

樋口氏 Windows XPのサポート終了に関するプロモーションは、業界全体をあげた取り組みであり、特定メーカーの、特定の機種に誘導するというやり方は適当ではないと考えています。Windows XPから新たな製品への乗り換えについては引き続き訴求していきますが、Surface Pro 3とは別の動きとなります。

――発売日の7月17日はなにかイベントは考えていますか。

樋口氏 まだ、詳細は未定ですが、量販店店頭では、なにかしらの発売記念イベントを予定しています。また、発売前から、主要な店舗には、Surface Pro 3を展示して、実際に触っていただくようにしたいですね。さらに、各種イベントを通じても触れる機会を用意したいと思っています。

――Surface Pro 3では、Core i3モデルだけが8月の出荷になっていますね。

樋口氏 日本のユーザーは高機能モデルを好む傾向にありますし、まずは高機能モデルから投入していくことになります。大切なのは、しっかりと供給体制を確立するということであり、発売日には品薄感がないということを優先したいと考えています。

――いまの手応えはどうですか。

樋口 販売店からの反響も大きく、これは「売れる」というお墨付きもいただいています。米国での予約状況も、まだ宣伝も始めていないのに、過去の予約状況を大きく超えている。これまでのSurfaceに比べて、進化が極めて大きい製品である、というところに、Surface Pro 3への期待が集まっているのではないでしょうか。これまでのSurfaceの世界的な動きをみても、日本での反響が大きく、実績も高い。その勢いを持続し、日本が一番、Surfaceが売れる市場であるということを改めて証明したいですね。