キャリアアグリゲーションで高速通信を実現するKDDI
それに対してKDDIは、キャリアアグリゲーション(CA)を今夏から開始し、その対応端末としてスマートフォン5機種、タブレット1機種を投入する。
CAは、2つの異なる周波数帯域を1つの帯域に見立てて通信速度を向上させる技術。一度に使える帯域が多いほど、通信速度は高速化できるが、1社が持っている周波数帯域には限りがある。1つの周波数帯域を10MHz幅しか持っていない場合、下り速度は最大で75Mbpsしか出せないが、20MHz幅があれば、倍の150Mbpsが実現できる。
CAでは、異なる周波数帯を仮想的な1つの帯域として見立て、帯域幅を拡大させることができる。KDDIの場合、2.1GHz帯と800MHz帯の2つの帯域を使い、最大150Mbpsを実現する。
ドコモの場合は、所有する帯域幅の関係上、すでに下り150Mbpsが可能な基地局があり、理論値の最高速度だけなら同等になっている。それだけが理由ではないが、いずれにしても今回ドコモではCAは見送り、VoLTEに注力した。
逆にKDDIは、LTEネットワークでしか利用できないVoLTEを急ぐよりも、LTEネットワークの穴をふさぎつつ、速度的なメリットのあるCAへの対応を優先した、という形だろう。
とはいえ、両社ともCAやVoLTEには最終的に移行する考えで、今年度中には対応していく見込みだ。なお、今夏モデルはドコモ版がVoLTE、KDDI版がCAに対応しているが、現時点で両社とも、それぞれCAやVoLTEにあとからソフトウェアアップデートで対応することは難しいとしている。