スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「個人認証機能」についてです。

***

スマートフォンには多くの個人情報が記録されているため、持ち主以外の人物がノーチェックで参照できないようにするための仕掛けが必要です。正当な持ち主かどうかの認証は、これまでパスワード/パスコードが主体でしたが、入力時に盗み見られる可能性がある、4桁の数字程度では突破が容易、などの理由によりセキュリティ機能としては不十分といえます。

個人認証はロック状態など通常の操作が許されないときに行われるため、システムレベルでの対応が不可欠です。さらに、指紋検出用センサーといったハードウェアの力も必要です。いずれにしてもアプリの追加では対処が難しいことから、端末を購入する時点で機能の有無を判定するしかありません。

パスワード/パスコード以降に登場した個人認証機能のうち、もっとも急速に普及しているものが「指紋認証」です。スマートフォンに内蔵のセンサーに指をかざすと指紋がスキャンされ、あらかじめ登録しておいた指紋データと照合されます。Android端末のほか、iPhone 5sにも指紋認証機能が搭載されています。

顔認証は、個人を確認するための新技術のひとつです。スマートフォンに内蔵のカメラ(フロントカメラ)を利用して操作する人物の顔をスキャンし、あらかじめ登録しておいた顔データと照合、正当な人物かどうかチェックします。Androidではバージョン4.0からOS標準の機能としてサポートされていますが、あまり普及していません。それは、本人の顔写真があると認証されてしまうことが原因とされます。Android 4.1以降では、まばたきしないと認証されないよう改良されましたが、まばたきしている動画を再生すると認証される可能性が残ることから、個人認証機能としては不安があります。

内蔵マイクで声を入力し声紋をチェックする「声紋認証」をうたう端末も発表されました。ZTEのスマートフォン「Grand S II」は、話しかけることで画面ロックの解除が可能です。ただし、2014年5月時点では日本語対応するかどうか明らかにされておらず、発売時期も不明です。将来の可能性はあるにしても、いますぐパスコード/パスワードや指紋認証に取って代わることはないでしょう。

声で個人認証を行うことができる「ZTE Grand S II」。2014年5月時点では、日本語対応するかどうかなど詳細は明らかにされていません