ThinkPad X1 Carbonの役割は「冒険に挑むこと」

この「新しい」部分に対しては、これまでの延長線上ではない、数多くの挑戦を行っている。そしてその挑戦は、メインストリームのThinkPadシリーズにはできない、ThinkPad X1 Carbonならではの「新しい」挑戦だといえよう。いやむしろ、もともとThinkPad X1 Carbonはそうした役割を持った製品であり、今回の新製品ではその姿勢がより明確化したといえる。

実は本体の薄さに関し、米国本社側からは現状の最薄部13.2mmよりさらに薄い目標値が提示されていたという。だが、それは実現するには高すぎるハードルであり、本社側も開発側もそれを理解した上で、コンマ1mm単位で薄さを追求していく作業に取り組んだ。ここにも、ThinkPad X1 Carbonならでのはるかに高い目標を目指すという開発姿勢が見受けられる。

「ThinkPad X1 Carbonは冒険に挑む製品。無限というわけではないが、薄さ・堅牢さを実現するため、ある程度の投資が認められている」と語る大塚亮氏

レノボ・ジャパン ノートブック製品 機構設計の大塚亮氏は、「これまでのThinkPadを利用しているユーザーにとっては、継続性という意味でもTシリーズやXシリーズを利用していただくのが適している。対して、ThinkPad X1 Carbonは冒険に挑む製品であることは間違いない。機構設計もメインストリームの製品は市場価格に反映するコストを強く意識しながら設計を行うが、惜しみない投資体制を敷いているのがThinkPad X1 Carbon。これまで14型のフラッグシップはThinkPad T440であったが、薄さなどの観点を考えれば、ThinkPad X1 Carbonがその位置づけを担うことになる」とする。

そして、レノボ・ジャパン UX&ノートブックSW開発・先進ソフトウェア開発の中尾竹伸氏も、「Adaptiveキーボードひとつをとっても様々な意見があるなかで、どうしたら新たな時代に適した操作性が実現できるのか、貪欲に工夫した。ThinkPad X1 Carbonはコストやスケジュールを優先するよりも、いいものを作ろうという意識が強い開発体制にある」と語る。

多くの製品はIntelの製品ロードマップや、Windowsの製品アップデートにあわせて新製品として市場投入されることが多いが、ThinkPad X1 Carbonはそうした流れからは一線を画した開発体制を敷いているようだ。

また、生産量がメインストリームの製品とは異なるため、量産性や材料の確保が難しい素材や部品でも優先的に採用できる点も、ThinkPad X1 Carbonの特徴だ。新しいThinkPad X1 Carbonでも、こうした開発体制が維持された形で作業が進められた。

レノボ・ジャパン UX&ノートブックSW開発・先進ソフトウェア開発の中尾竹伸氏