ソニーマーケティングと調査会社ネオマーケティングは、20代から50代の男女500名を対象に聴感覚の調査を実施した。

調査によると、日本人には特有の聴感を持つ人がいるという。調査では、これを「日本耳」と定義している。ここでいう日本耳とは、敏感かつ繊細に音を感じ取ったうえで、さまざまなイメージを描ける能力だという。これを備えることで、音から視覚的な想像力を喚起し、相手の感情や情感などを読み取れるとのこと。

精神科医の名越康文氏によると日本耳は、日本人と欧米人の情報処理方法の違いによるもので、音からビジュアルを思い描いたり、感情、状況を把握したるする能力が日本人は高いのだという。一例を挙げると、ししおどしは、音から絵を想像する日本人特有の感覚から作られたもの。ちなみに、このように人工的な音を発する装置は、そもそも日本が発祥の地とされているという。

別の例を挙げると、「さんさんと降り注ぐ」「しんしんと積もる」などの擬音語や擬態語が多いという日本語の特徴がある。これらも日本人が古来から備える聴感覚が生み出したと分析している。

「日本耳」を持つ人は出世や昇級が早い

なお、調査では音の分析力から日本耳の度合いを「高」「中」「低」に分類。「高」の日本耳を持つ日本人は、9.4%(47人)だった(【図1】参照)。日本耳の有無は出世や昇級にも影響し、「出世・昇級が比較的早い」という回答者は、全体だと35.9%だった(【図2】参照)一方で、日本耳を持つ人では56%に上った。この要因としては、日本耳を持つ人は7項目で分析されたコミュニケーションのうち全てにおいて、母集団全体の結果より10~30%高い数値となっている(【図3】参照)。

↑【図1】「日本耳得点ランク」 →【図2】「仕事と日本耳」

【図3】「コミュニケーション能力と日本耳」

一方で、日本耳を持つ人は音楽を聴く際に、音質や機材にこだわりがあることが多いという。機材については全体でこだわりを持つ人は30.8%だが、日本耳を持つ人は72.3%がこだわりを持つ(【図4】【図5】参照)。また、音質についても全体では48%に留まるのに対し、日本耳を持つ人では83%もの人がこだわりがあるという。

【図4】「音楽機材へのこだわり」

【図5】「音質へのこだわり」

「ウォークマン」シリーズのフラッグシップモデルであるハイレゾ対応の「ZX1」

こうした結果から、日本人特有の日本耳を維持し、育てるには些細な音に耳を澄まし、繊細な音を楽しむことが必要だと、音環境コンサルタントで音楽心理カウンセラーの齋藤寛氏は語る。齋藤氏によれば、日々の生活でできる限り忠実に再現された音に触れることが大切だという。

ソニーでは、楽曲製作者が意図した音、楽器本来の音、臨場感を忠実に再現する環境に触れるためにも、音質にこだわった「ウォークマン」シリーズで音楽を楽しんでほしいと締めている。

iconicon