NTTドコモは9月5日、宮城県本吉郡の南三陸町役場において、同社の森林保全活動支援の一環として「フォレストック認定制度」を通じ、南三陸町に430万円を贈呈する式典を開催した。式典では、森林保全活動の内容説明や、南三陸森林組合総務課長の山内日出夫氏による森林の状態の説明、そしてNTTドコモ 東北支社長・青山幸二氏から南三陸町・佐藤仁町長へ目録が贈られた。

佐藤町長(写真左)と青山支社長

ドコモは、2013年2月から東日本大震災の被災地への復興支援活動として南三陸町町有林の森林保全活動の取り組みを行っている。その取り組みの一つとして、まず同月にフォレストック認定を受けた南三陸町の対象森林の「CO2吸収量クレジット」を2000万円分購入し、森林の保全活動に貢献している。

山内氏による南三陸町の森林の解説

今回も同様の仕組みを利用し、430万円分のCO2吸収量クレジットを購入した。実はこの復興支援・森林保全活動には、ドコモだけでなく、ドコモユーザーも貢献している。2013年6月より「dショッピング」において5000個限定で販売された「ドコモダケスマートフォンホルダー」の売上の一部がクレジット購入にあてられたかたちだ。

ドコモダケスマートフォンホルダー

この商品は、ドコモのマスコットキャラクター「ドコモダケ」を使用したもの。ドコモユーザーが購入しやすいようにドコモポイント等も利用できる「dショッピング」を販売チャネルとすることで、ユーザーと一緒に復興支援や森林保全ができるという仕組みになっている。

このドコモダケスマートフォンホルダーは、南三陸町の間伐材を材料にして作られている。切り株にカエルとドコモダケが座るかわいらしいデザインで、商品一つひとつの木目が異なり、木の手触りや香りが楽しめる。購入者からの反応も好評で、「こういったクレジット付き商品を販売したのが初めてということもあり、お客様に共感を得られるか分からなかったのですが、復興・森林保全のために協力できるという仕組みが受け入れられ、1日で7~800個購入いただいた日もありました」とNTTドコモ 東北復興新生支援室の山本圭一担当課長は振り返る。

このドコモダケスマートフォンホルダーに使われた間伐材の製材は、南三陸町の工場で行われ、加工・検品・梱包についても南三陸町の「入谷Yes工房」が担当したという。復興支援活動の意味もあるこの取り組みで生まれた商品なので、間伐材を有効活用するだけでなく、南三陸町で作るというところにも復興への短期的な支援に留まらない姿勢がみえるといえるだろう。

入谷Yes工房の様子

こうしたドコモの姿勢を受け、「ドコモさんからの提案がなければ、ドコモグッズで使われている間伐材は山で腐って終わる運命だった。それがこうした商品になり、世に出て行くことは大変意義があり、こうした商品に南三陸町の木材が使われてうれしく思っている。商品製作も南三陸町で行われ、町民が直接恩恵を受けている。木にとっても雇用された方々にとっても、非常にありがたい」と南三陸町側はコメントする。

間伐材を使ったドコモグッズのCO2吸収量クレジットの合計は215万円となり、ドコモからも同額の金額を加えた総額430万円が贈呈されたが、今回と2013年2月に購入したCO2吸収量クレジット分を合わせると、南三陸町の対象森林の55%にあたる約444ha(東京ドーム約95.2個分)の森林保全活動を支援したことになる。

現在はドコモダケスマートフォンホルダーの販売は終了したが、「商品の販売を単発で終わらせるのではなく、継続して事業を展開していくことで、長く復興支援や森林保全活動に関わっていきたいと考えています。2013年11月には積もった雪の上にドコモダケが居るような、冬をイメージしたスマートフォンホルダーと、プラスアルファとして新しい商品を展開する予定です。販売チャネルも拡大し、dショッピングだけでなく、全国のドコモショップで買い求められるようにしたいと考えています。」と青山支社長は語る。また、「CO2吸収量クレジットは、豊かな自然をコンテンツとして、観光業といった新たな産業振興に使ってもらえればと願っています。今後ともお客様と一体となって復興支援活動に取り組んでいきたい」ともコメントした。

復興支援活動や森林保全活動などについて話す青山支社長

佐藤町長は「今回贈呈されたCO2吸収量クレジット分のお金は、ペレットストーブの購入者への補助金に活用するなど、有効に使いたいと考えている。また、ドコモグッズにより雇用の創出が生まれ、一生懸命働く南三陸町町民の方々が、一歩一歩復興に向かって進んでいこうという気持ちにさせてくれたドコモさんに感謝を申し上げます。今後とも森をしっかりと守れるように取り組んでいきたい」とコメントした。

ドコモの取り組みについて話す佐藤町長

式典には初披露となるドコモダケの着ぐるみや、南三陸町を元気にするキャラクターの「オクトパス君」が登場した