「地下街に行ったら、スマートフォンの電波が途切れた」という経験をお持ちの方は少なくないだろう。現在、携帯各社が対策を進めている地下街のLTE化。まだ「繋がらない」というイメージの方が強いが、実際はどの程度まで改善されているのだろうか?

KDDI(au)が9月2日に行った記者会見では、同社の田中孝司社長から「あたらしいau 4G LTE」として「つながる力」と銘打った戦略方針が発表された。同社では電波が回り込みやすく、つながりやすい800MHz帯の周波数を有効に活用することで、LTEの対応面積を約1.5倍に広げ、2014年3月までに実人口カバー率を99%にまで引き上げるという。

そこで今回は、実際に"デパ地下"に赴き、電波状況を調べてきた。取材した場所は、マイナビニュース編集部から最も近いデパートのひとつ「大丸 東京店」。同店の広報に許諾を取り、地下1階の食品街 ほっぺタウンにて、各キャリアの通信速度を計測した。

東京駅からアクセスの良い大丸 東京店。地下にある食品街 ほっぺタウンで、スマホの通信速度を計測した

本稿で通信速度を計測するために使用したスマートフォンは、NTTドコモの「Xperia A SO-04E」、KDDI(au)の「HTC J One HTL22」、ソフトバンクモバイルの「AQUOS PHONE Xx 206SH」の3機種。いずれもLTE通信を行える最新機種である。

左からNTTドコモのXperia A、KDDI(au)のHTC J One、ソフトバンクモバイルのAQUOS PHONE Xx

地上での結果は?

地下街で計測を始める前に、地上(東京駅八重洲口)で計測してみた。通信速度の計測にはアプリ「Speedtest.net」を利用。それぞれの端末で3回ずつ計測し、その平均値を実測値としている。NTTドコモは下り4.02Mbps/ 上り2.5Mbps、KDDI(au)は下り14.02Mbps/ 上り11.48Mbps、ソフトバンクモバイルは下り23.59Mbps/ 上り5.97Mbpsという結果。各社とも通信速度は安定していた。

地上(東京駅八重洲口)で計測したところ、下りの最高値はソフトバンクモバイルで23.59Mbps、上りの最高値はKDDI(au)で11.48Mbpsだった

地下の3カ所で計測

ほっぺタウンにはグルメ店がひしめきあっている。また東京駅からアクセスの良い人気のデパ地下ということもあり、客層には主婦やOLのみならず、サラリーマン、高齢者、そして外国人の姿も多く見受けられた。今回は、ほっぺタウンの神田(北側)側の1カ所、有楽町側(南側)の2カ所で計測した。

大丸東京店には、来店者が自由に利用できるiPadが並んでいた。ほっぺタウンに入っているグルメ店が一覧できるほか、大丸東京のフロアMAPも閲覧でき、東京駅周辺にある施設の情報まで得られるようになっている。広報によれば、大丸ではこうした新しい技術を積極的に取り入れる社風があるのだという

まずは神田側にあるベーカリーの前で通信速度を計測した。結果は、NTTドコモは下り2.91Mbps/ 上り0.19Mbps、KDDI(au)は下り24.48Mbps/ 上り2.22Mbps、ソフトバンクモバイルは下り7.27Mbps/ 上り2.11Mbpsだった。この場所ではKDDI(au)のダウンロード速度が非常に速かった。またソフトバンクモバイルの下りも遅くない印象だった。

KDDI(au)が下り24.48Mbps、上り2.22Mbpsと速かった

続いて、有楽町側に移動して通信速度の計測を行った。有楽町側には、有名な弁当店が数多く入っている。広報の話では、1日1000種類のお弁当を用意しているのだという。

牛タンのお店付近で計測。結果は、NTTドコモは下り2.92Mbps/ 上り0.21Mbps、KDDI(au)は下り25.76Mbps/ 上り5.43Mbps、ソフトバンクモバイルは下り8.79Mbps/ 上り2.85Mbpsだった。ここでもKDDI(au)の電波が強かった。

弁当店の立ち並ぶ、通称"お弁当ストリート"で計測。KDDI(au)が下り25.76Mbps/ 上り5.43Mbpsと強さを見せつけた

弁当店だけでなく、洋菓子/ 和菓子の店舗も充実している。そこで、美味しいベルギーワッフルを提供する人気店の近くで、本日最後の計測を行った。結果は、NTTドコモは下り2.68Mbps/ 上り0.14Mbps、KDDI(au)は下り23.89Mbps/ 上り2.47Mbps、ソフトバンクモバイルは下り5.68Mbps/ 上り1.15Mbpsだった。

ベルギーワッフルの人気店近くで計測。KDDI(au)は下り23.89Mbps/ 上り2.47Mbpsで、下り、上りとも圧倒した

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本日の結果をまとめると、最後の表のようになる。大丸 東京店の地下ではKDDI(au)の電波が圧倒的に強く、「地下街のLTE化に力を入れている」という田中社長の言葉を裏付ける結果となった。一方で、ほかの2キャリアの通信速度に目を転じてみると、ソフトバンクモバイルは平均で6Mbps弱~9Mbps弱、NTTドコモも平均で3Mbps弱のダウンロード速度が出ており、こちらも決して使えないほど遅いというわけではなかった。携帯キャリア各社では現在、LTE通信の対応エリア拡大を急ピッチで進めている。今回の調査ではその進捗状況がうかがえた次第だ。

計測結果のまとめ