「次世代のテレビ事業を探る」バックナンバー
第1回 地デジ完全移行から2年
第2回 4Kテレビ時代は幕を開けた?

一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は、4K/8K放送の実現とともに、次世代放送サービスのひとつとして「スマートテレビ」の早期実現も盛り込んでいる。

NexTV-Fでは、放送やVOD(ビデオ・オンデマンド)などの利用促進とともに、高精細スクリーンによるユーザーインタフェースの改善や、高齢者社会における公共サービスの利便性向上を実現することも視野に入れている。つまり、NexTV-Fでは、スマートテレビも日本が得意とする製品領域のひとつに位置付けたいと考えているのだ。

ネットワークサービスの充実、スマートフォンとの連携など、各社ともスマートテレビ像を模索する(写真左はソニーの「Sony Entertainment Network」、右はシャープの「スマホライフAQUOS」)

スマートテレビのあるべき姿とは?

現時点で「スマートテレビ」といえば、インターネットのコンテンツをテレビ画面で視聴できたり、太陽光発電や電力消費の状況をリアルタイムで表示したりといった用途を想定するのが一般的だ。だが、次世代のスマートテレビの利用は、様々なサービスとの連動が前提となっている。

シャープの「くらしサポート」の画面。地域の情報を閲覧できるまさに電子回覧板だ

例えば、シャープは埼玉県北本市で「見守りサービス」の実証実験を行っており、2013年秋以降の実用化を目指している。

これは、自治体や福祉施設が、独居老人の家庭などにスマートテレビを導入。毎日、テレビのスイッチを入れたことを確認し、健康に生活していることを確認するという福祉サービスだ。

また、くらしサポートでは、地域の情報を自動的にテレビ画面に表示。地域の天気のほか、翌日のゴミ出し情報、自治会での催し物情報、市役所からのお知らせなどを表示。次世代回覧板としての役割も果たす、地域のコミュニケーションの窓となる。

ほかにも、様々なビジネスにも変化を及ぼす可能性がある。まず、将来想定されるシーンのひとつに視聴率予測がある。テレビ番組の録画予約情報を基に、事前に視聴率を予測。もし想定の視聴率まで達しないとした場合には、番組を通じての告知頻度を高めるといったことも可能になる。

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