また、音声認識技術も今後のスマートテレビの発展には欠かせないものだろう。家族の誰が発した言葉か、その内容は何かといったことをテレビが認識して、それに最適なコンテンツを探し出してテレビに表示することもできる。

パナソニックでは、米IBMと提携し、ビッグデータとクラウドを組み合わせた家電製品向けサービスの構築に着手しており、スマートテレビをはじめとするスマート家電をつなぐだけでなく、家の中でも家の外にいても、必要なことを予想し、それに応えてくれる家電製品の創出を目指しているという。

だが、スマートテレビはまだ緒についたばかりだ。こうした環境を実現するには、まずはネット接続率を高めるという、前提条件をクリアしなくてはならない。残念ながら、日本におけるテレビのネット接続率は、20%程度に留まっている。一部調査では、家庭内における無線LAN普及率が75%に達しているという数値もあり、これに比較してもテレビのネット接続率の低さは気になるところだ。

テレビのネット化がもたらす未来

スマートテレビの先駆けとなるパナソニックの「スマートVIERA」

ネット接続率の低さは、テレビでネットコンテンツを利用する必要性を感じていなかったり、インターネット接続の設定作業が難しかったり、ネット利用時の操作が行いにくかったりすることが要因だといえよう。パナソニックやソニーでは昨年来、ネット接続率50%を目指した製品づくりやマーケティング戦略に取り組んでいる。

例えばパナソニックでは、2013年モデルの「スマートVIERA」において、テレビの初期設定時、受信チャンネル設定の前にインターネットの設定から行うようにした。電源を入れた時にも「マイホーム」と呼ばれる画面が最初に表示されるような設定も用意している。

また、付属しているマイク内蔵リモコンを使用することで、音声入力が可能。ネット接続時には、「○○をインターネットで検索」としゃべれば、その言葉をGoogleで検索することが可能だ。これもネット接続の促進、ひいてはスマートテレビ普及の第1歩となる。

ネット接続が促進されれば、今後、ホームセキュリティシステムとの連動や家庭内の電力管理をはじめとするHEMS連携、各種コンテンツ販売など、メーカーにとっても次世代ビジネスの基盤ができあがることになる。リビングの中心だったテレビを家庭の中心的役割を果たす機器に置き換えるには、ネット接続は不可欠であり、その基盤がスマートテレビということになる。

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