Windowsストアアプリ開発者やユーザー向けの公式Twitterアカウント「Windows App Builders」は、同アプリの本数が10万本を超えたことをツイートで明らかにした。昨日行われた開発者向けカンファレンス「Build 2013」で、Windowsプログラムマネージャー担当コーポレートバイスプレジデントのAntoine Leblond(アントワーン・レブロンド)氏は「約10万本」と称していたが、その数日後に目標を達成したことになる。

Windowsストアアプリの充実は、プレビュー版の公開で注目を集めているWindows 8.1や、もう一つのOSであるWindows RTの存在感と比例し、Windows OSファミリーを盛り上げるために欠かせない要素である。そのWindows 8.1プレビューだが、リリース直後に数多くの更新プログラムが公開された。今週は更新プログラムの詳細と、昨日行われた日本マイクロソフトの経営方針発表会会場で見かけたKinect for Windowsについてレポートする。

リリース初のWindows 8.1プレビュー向け更新プログラム

予定どおりWindows 8.1は、米国で開催された開発者向けカンファレンス「Build 2013」と同じタイミングでプレビュー版が公開された。このWindows 8.1 Build 9431は2013年6月15日にコンパイルされたものだ。既にWindows 8.1プレビュー版をお使いの方ならご承知のとおり、プレビュー版公開から半月の間に、数多くの更新プログラムがリリースされている。

各カンファレンスの開催で改めて修正を行うべき箇所を発見した、と述べれば聞こえは良いかもしれないが、過去のプレビュー版ではセキュリティホールの修正以外の目的で、更新プログラムを提供することは珍しい部類に含まれる。そこでプレビュー版公開から本稿を執筆するまでの間に公開された更新プログラムを精査することにした(図01)。

図01 筆者が確認した限りではリリース直後の6月29日と、その後の7月3日に更新プログラムが公開されていた

筆者の環境では九つの更新プログラムを確認。ただし、KB2863112のように何回か同じ更新プログラムがインストールされるケースもあった。最初の「KB2863204」は「Update improves Search charm performance in Windows 8.1 Preview」というタイトルで公開された更新プログラムである。リンク先のWebページで詳細を確認すると、検索チャームのパフォーマンスを向上させるものだと言う。

KB2863312」の「Compatibility update for Windows RT 8.1 Preview and Windows 8.1 Preview: June 2013」は、Windows RT 8.1プレビューおよびWindows 8.1プレビューの互換性アップデート。各プレビュー版を対象にしていないソフトウェアの動作を安定させるためのものだ。リンク先のWebページでは、「Nero InCD」や「Parallels Desktop」といったユーティリティ系デスクトップアプリや、「Quake 4」といったPCゲームの互換性が改善することが説明されている。

KB2863721」の「Windows Store app is not added to the correct category in Windows 8.1 Preview」は、WindowsストアからダウンロードしたWindowsストアアプリのカテゴリー情報が正しく取得されないため、意図しない場所に分類される問題を改善するものだ。「KB2863723」の「Update improves SkyDrive video playback in Windows 8.1 Preview」は、SkyDrive上に保存した動画ファイルの再生を改善するための更新プログラムである。筆者は確認できなかったが、Windows 8.1プレビュー版リリース直後は、動画再生時に不具合が発生していたと言う。

KB2863846」の「Authentication issues when you use Windows Store apps that declare the Enterprise Authentication capability in Windows 8.1 Preview」は、Windowsストアアプリ使用時の認証時にエンタープライズ認証機能を利用する際に発生した不具合を改善する更新プログラムである。こちらもエラーに出くわすことはなかったが、ユーザー資格情報の入力時に認証できなかったそうだ。

KB2864247」の「Windows Store apps crash on launch in Windows 8.1 Preview」は、ごく一部のWindowsストアアプリ起動時にハングアップしてしまう問題を修正する更新プログラムである。「KB2864713」の「Update improves the robustness of data files in Windows 8.1 Preview」はMSKBの説明も少ないため詳細は不明だが、データファイルの保全性を向上させる更新プログラムだ。

KB2864806」の「Can't sign in to a Google account through certain applications in Windows 8.1 Preview」は、Googleが提供するWebサービス「Picasa」へサインインできない問題を改善する更新プログラム。適用後はGoogleアカウントを利用する他のWebサービスのサインインも改善すると言う。

そして最後の「KB2864808」の「Can’t resume a download in Internet Explorer 11 Preview」は、Internet Explorer 11でダウンロードを一時停止すると、再開時にエラーが発生する問題を改善するというものだ。

駆け足でWindows 8.1プレビュー(および、Windows RT 8.1プレビュー)向け更新プログラムの内容を紹介したが、いずれも即時対応しなければならない軽微な問題が含まれていることが分かる。筆者が経験したトラブルとしては、DLNAデバイスをシェル上で管理する「dlnashext.dll」ファイルが原因でエクスプローラーがハングアップする、というものがあったが、この問題は改善対象に含まれていない。

穿(うが)った見方をすれば、Windows 8.1プレビューはWindows 8を改善するための存在であるため、軽微な問題も良い印象を与えるためにできる範囲で更新プログラムを提供したのではないだろうか。そもそもWindows 8.1プレビューは開発途中版であり、どのような不具合が発生しても致し方ない面がある。それだけに更新プログラムの提供はありがたいが、これまでと異なるアクションに違和感を覚えることを否定できない。

Windows 8.1 Previewフォーラム」では数多くの質問や要望が寄せられており、RTM(Release To Manufacturing version:製造工程版)版に向けたクオリティアップに一役を買っている。前述のとおり、いくつかの不具合が発見されているものの、更新プログラムを早期にリリースするというスタイルであれば、大きな問題にはならないだろう(図02)。

図02 「Windows 8.1 Previewフォーラム」に寄せられた、Windows 8.1プレビューに関する質問や要望 /p>

そもそもモダンUI(ユーザーインターフェース)に慣れないという方には難しいかもしれないが、Windows 8を使いこなせる方にWindows 8.1プレビューは悪くない存在だ。現在Windows 8を使用している方々は、開発が順調に進めば、米国のホリデーシーズン(11月末)前にリリースすると言われているWindows 8.1に期待していいだろう。