SSDの急速な低価格化や高性能化によって、PCのストレージとしてSSDがすっかり定着した感がある。大手メーカー製PCでも、標準でHDDではなくSSDを搭載する製品が増え、ノートPCはもちろん、自作PCやメーカー製デスクトップPCのストレージとしても広く普及した。

さらに、少し古いノートPCのパフォーマンスを向上させる手段としても、SSDは非常に有効だ。体感速度には、CPU性能よりもストレージ性能が効いてくるため、パフォーマンスに不満を感じるノートPCのストレージをHDDからSSDに換装することで、体感的なパフォーマンスは大きく向上する。

ノートPCのHDDを有料でSSDに換装するサービスを行っている業者もあるが、液晶ディスプレイが15型クラス以上の据え置きノートPCは、内蔵のHDDへと簡単にアクセス(物理的に)できるようになっている製品が多い。つまり、HDDからSSDへの換装作業は、それほど難しくはないのだ。そこでノートPCのストレージをSSD化する利点をまとめつつ、実際にパフォーマンスがどれくらい向上するのか検証していく。

PLEXTORのSSD「M5 Pro XTREME」

今回、HDD→SSDの換装に用いた富士通の15.6型ノートPC「LIFEBOOK AH77/D」

ノートPCのストレージをHDDからSSDに換装するメリット

まず、ノートPCのストレージをHDDからSSDに換装するメリットについて紹介したい。やはり最大のメリットは、ストレージ性能の大幅な向上であろう。ご存じの通り、HDDは高速に回転する円盤(プラッタ)に対して、磁気ヘッドを利用して磁気的に情報を記録するデバイスだ。物理的な可動部分が多いため、高速化に限界があるだけでなく、ランダムアクセスを行う際に磁気ヘッドの移動時間やプラッタの回転待ち時間が発生する。

それに対してSSDは、モーターやヘッドといった物理的に動く機械部品が一切ない。純粋に電気的に動作するデバイスなので、HDDよりずっと高速だ。繰り返しになるが、OSやアプリケーションの体感的なパフォーマンスは、ストレージ性能によって大きく左右される。ノートPCのHDDをSSDに換装することで、そのパフォーマンスは誰でもすぐに気付くほど向上するのだ。加えて、アプリケーションにおける機能の選択や処理、操作感なども格段に高速化される。いったんSSD環境の快適さに慣れてしまうと、HDD環境には戻れないほどだ。

HDDとSSDの詳しい性能差については後述するが、ここでは1つの例として、富士通の15.6型ノートPC「LIFEBOOK AH77/D」のHDDをPLEXTORの高性能SSD「M5 Pro XTREME」に換装した場合の、CrsytalDiskMarkの計測結果を紹介する(OSはWindows 8 Pro 64bitをクリーンインストール)。

HDD搭載時のCrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルリードは83MB/s、512Kランダムリードは24.21MB/s

SSD換装後のCrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルリードは485.1MB/s、512Kランダムリードは358.2MB/s

HDDをSSDに換装することで、ストレージ性能が大きく向上したことが分かる。例えば、シーケンシャルリードを比較すると、HDD搭載時は83MB/sなのに対し、SSD換装後は485.1MB/sと、6倍近くも速くなった。さらに、512Kランダムリードでは、HDD搭載時が24.21MB/sだったのに対し、SSD換装後は358.2MB/sと、実に15倍近くも高速化したのだ。

静音性と耐衝撃性もポイント

静音性と耐衝撃性も、SSDのメリットだ。前述したように、HDDはモーターやヘッドなど物理的に動く機械部品があるため、動作音が発生する。ノートPC用の2.5インチHDDは動作音もそれほど大きくはないが、静かな場所で使っている場合や音に敏感な人は、HDDの動作音が気になることもあるだろう。しかし、SSDは物理的に動く機械部品がないため、動作音はまったくない。

また、HDDはその構造上、落下などの衝撃や振動に弱い。持ち歩くことが多いモバイルノートPCでは、HDDの動作中にうっかり落としてしまい、データが読み出せなくなったり、HDDが壊れてシステムが起動しなくなった…、という事故の例も多いのだ。それに対し、SSDは半導体であるNANDフラッシュメモリとコントローラなどから構成されており、衝撃にも強いのである。

省電力性に優れていることもSSDのメリット。今回利用したPLEXTORのM5 Pro XTREMEの256GBモデルは、カタログ値の消費電力が0.25Wだ。換装に用いたノートPC、LIFEBOOK AH77/Dの標準HDDはWestern Digitalの「WDC WD7500BPVT」で、こちらの消費電力(カタログ値)は読み取り/書き込み時が1.6W、アイドル時0.65W。単純に比較して、M5 Pro XTREMEの消費電力は、HDDの数分の1である。これはケースバイケースだが、ノートPCのHDDをSSDに換装することで、バッテリ駆動時間が1時間以上も延びることがあるのだ。高い静音性や耐衝撃性とともに、ノートPCへのSSD搭載は、とても理にかなっているといえるだろう。

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