レノボ・ジャパンから新登場したUltrabook「ThinkPad Helix」。ThinkPadブランドならではの質実剛健なつくりの良さをそのままに、着脱式のタブレット部とキーボードドック部により使い道をひろげた11.6型フルHDの軽量薄型コンバーチブル機で、第3世代Intel CoreやWindows 8を搭載……と、まぁ話題は色々あるわけだが、製品発表会で実機に触れた瞬間、そのあまりに"イケてる"たたずまいに、筆者的にはそういう細かい話は、まぁどうでもよくなった。これはぜひ紹介せねばと思い立ち、試用レポートをお届けしておきたい。
■レビュー機の主な仕様 [CPU] Intel Core i7-3667U(2.0GHz) [チップセット] Mobile Intel SFF QS77 [メモリ] 8GB DDR3L PC3-10600 [ストレージ] 256GB SSD [ディスプレイ] 11.6型フルHD(1,920×1,080) 10点マルチタッチ IPS液晶 [サイズ] W296.1×D226×H20.4mm(タブレット単体W296.1×D187.3×H11.6mm) [重量] 約1.66~1.61kg(タブレット単体約0.873~0.787kg) [OS] Windows 8 Pro
ハイスペックを盛り込んだプレミアム機
Helixは、メインハードウェアであり、独立してWindows 8タブレットPCとして利用できるタブレット部分と、拡張バッテリの役目も兼ねる着脱式のキーボードドック部分で構成されるコンバーチブルUltrabookだ。着脱式のコンバーチブルUltrabookは、既に市場にいくつかの製品が登場しているが、レノボとしては初めての製品となる。同社内での製品の位置づけとしては、ThinkPad X1 Carbonと並ぶフラグシップ級のモデルとされているようで、以降で詳細を紹介するが、製品の随所でかなりのこだわりが見受けられるプレミアムな製品に仕上がっている。
クラシックThinkPad(下)と並べてみた。角がとれたやや丸みを帯びたデザインになっているほか、塗装もクラシックThinkPadとは少し雰囲気の違う仕上げになっている |
ほか、良く見るとクラシックThinkPadとは天板の「ThinkPad」ロゴの向きが逆になっているのだが、これにより、ディスプレイを開いた状態でロゴの天地が正位置になるようになった |
ディスプレイサイズは11.6型とモバイルサイズだが、解像度は1,920×1,080のフルHDで、液晶も視野角に優れたIPSパネルを採用。ディスプレイ表面はグレアタイプで、ほかコーニング社の「ゴリラガラス」の採用で強度を上げている。10点マルチタッチのタッチパネルになっているほか、本体に収納できる専用デジタイザペンでの操作も可能だ。ちなみにこのペン入力がかなりリッチな仕様で、実績十分なワコム製のものを採用しており、筆圧感知も2,048段階と高精度。この筆圧感知の精度は、手書き文字入力の"自然さ"などで既に高い評価を受けている同社「ThinkPad Tablet 2」の倍という水準だ。
11.6型のモバイルサイズだが、解像度は1,920×1,080ドットで、作業領域は非常にひろい。反面、細かい文字の判別などはすこし困難 |
天板の左上に専用のデジタイザペンを収納できる。文字入力やポインティングデバイスとしても使いやすい |
主なスペックはCPUはモデルラインナップによりIntel Core i7-3667U(2.00GHz)かi5-3427U(1.80GHz)、メモリは最大で8GBのPC3-10600 DDR3L SDRAM、チップセットはMobile Intel SFF QS77でIntel vProに対応し、TCG v1.2のセキュリティチップも内蔵、ストレージは最大256GBのSSD。通信機能はIEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0のほか、オプションのUSB 2.0接続アダプタで有線LANも利用できる。センサ類は加速度、デジタルコンパス、Ambient Light、GPS、ジャイロ。下位ラインナップ以外はNFCも備える。
以上のスペックは全てタブレット側のハードウェアのもので、ほかインタフェースについては、タブレット側にUSB 2.0×1、Mini Displayport×1、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック×1、前面200万画素/背面500万画素のWebカメラ、電源ジャックで、電源ボタンや画面ローテーションロックボタンなどもこちら側に備えている。キーボードドック側にはUSB 3.0×2、Mini Displayport×1、セキュリティ・キーホールで、キーボードドック側にもマイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャックと電源ジャックを備えている。
本体背面にインタフェース類が集中。向かって左からUSB 3.0、電源ジャック、Mini Displayport、USB 3.0 |
画像はドッキングを解除した状態のタブレット側。電源ボタンはタブレット側、ドッキング状態でディスプレイをひらいた際、右上にあたる部分に設置されている。誤動作防止のためか、少し押しづらい |
なお、先ほどのタブレット側のインタフェース写真で、左右の端にスロット状のものが見えるが、正体がこれ。引っぱり出すと、技術基準適合証明のラベル等が貼られたパネルが収納されている。本体のどこかに貼らないといけないラベルなのだが、単に本体表面に貼るとデザイン上、好ましくない……という理由で設けられたスロットだ。そのためだけにパーツを設けたというこだわりが凄い |
ThinkPadを名乗る以上、特殊スペックの着脱式であろうが外せない、ドック側のキーボードも詳しく見ておきたい。キーボードは現行クラシックThinkPadのアイソレーションタイプのキーそのままで、ThinkPadの象徴でもある赤いトラックポイントも備えている。一応、キーストロークがやや浅くなっているほか、トラックポイントの赤いゴムパーツも背が低くなっており、専用パーツとなっているので注意したい。タッチパッドは一見モノリシックだが、パッド下には独立5ボタンを備えており、クラシックThinkPadと同等に利用できる。また、パッドはWindows 8のジェスチャーやマルチタッチ操作に対応しているので、ドック装着時はディスプレイを指でタッチすることなく、キーボードポジションのままタッチUI操作を再現することができる。
タッチパッドは一見モノリシックだが、下に独立5ボタンを仕込んでおり、クラシックThinkPadのタッチパッド周りと同じ使い方ができる。また、Windows 8のジェスチャーやマルチタッチ操作にも対応。ほか、指と手のひらの認識機能も備えており、キーボード操作中の誤動作を抑制する |
バッテリ持続時間はタブレット単体では公称8時間で、拡張バッテリを兼ねるキーボードドック装着で+4時間の公称12時間駆動を実現する。本体サイズはタブレット部がW296.1×D187.3×H11.6で、キーボードドック装着時はW296.1×D226×H20.4。重量はタブレット部が最も軽いラインナップで785g、キーボードドックが820gとなっており、合体時のクラムシェル形状での総重量は1.6kgとなる。なお重量については、同社調べによると、日本国内で発売中の着脱式Ultrabookでは最軽量とのことだ。
ThinkPadならではの堅牢性も妥協の無い仕様となっている。タブレット本体のカバーは同社得意のマグネシウム製で、無線系を通すため外周部はプラスチック素材も組み合わせた複合ボディとなっている。ドック側の底面も同様のマグネシウム/プラスチック複合で、挟み込まれるキーボードのフレームはマグネシウム製。タブレットのディスプレイ側はゴリラガラスなので、着脱のあらゆる状態で内部パーツをサンドイッチしている。ThinkPadと言えば大和研究所の堅牢性試験、通称"拷問テスト"が有名だが、実際、本機ではThinkPadノートの拷問テストと、タブレット向けの拷問テストの両方をパスしており、下手をするとクラシックThinkPadよりも頑丈なのかもしれない。