海外旅行先でスマホを買って活用することはできるのだろうか? 予算は1万円。今回はポルトガルの首都、リスボンで1カ月データ定額付きの1万円スマホを購入してみた。

プリペイドSIMは登録不要、1万円スマホはあるのか?

多くの国がプリペイドSIMの購入に身分証明書の提示やユーザー登録が必要なヨーロッパ。だがイベリア半島の西に位置するポルトガルでは登録不要で自由にプリペイドSIMを買うことができる。しかも携帯電話は、各通信事業者がSIMロックをかけ販売しているので、比較的安価に入手することが可能だ。もちろんプリペイドSIMとスマホのセット販売も行われている。

ポルトガルの携帯電話事業者は地元のTmnとOptimus、そしてVodafoneの大手3社に加え、MVNO事業者が複数存在する。各社のプリペイドSIMの料金プランは、通話主体のものからデータ通信利用可能なものまで複数が提供されている。なので購入時はショップのスタッフに希望のものを伝えよう。スマホ向けにデータ通信利用を重視したプランも各社が用意している。ちなみにポルトガル語でプリペイドは「Pre-Pagos」と表現するのが一般的だ。

ヨーロッパらしい町並みのリスボン。レトロなトラムも走っている

ショッピングモールには事業者の店がたいてい入っている

さてポルトガルで販売されている携帯電話やスマホは、SIMロックがかかっているため確かに安い。しかし人口約1000万人と市場の規模が小さいためか、端末のバリエーションはあまり多くないようだ。今回も購入するスマホの予算は1万円だが、年始から円高が進んだことから2013年2月の為替レートは1ユーロが約123円。そのため1万円は約81ユーロとなり、それより安いスマホを探す必要がある。だが安価なスマホの種類は他のヨーロッパ各国よりも少なく探すのに一苦労する。

例えば2013年2月の各事業者社の端末価格を見ると、シェア1位事業者Tmnで81ユーロ以下のスマホはHuawei G7300の79.9ユーロの1機種のみ。しかもこのG7300はイマドキ珍しい3G非対応の製品なのだ。3G対応スマホは最安値でもHuawei Ascend Y201 Proの89.9ユーロで1万円以下の条件を満たしてくれない。同様にOptimusの最安値スマホはOptimus Valenciaの99.9ユーロ、VodafoneもVodafone Smart 3.5Gの同じく99.9ユーロ。これがスペインやドイツならば60ユーロ、70ユーロのエントリースマホが売られているのだが、ポルトガルでは見つけることはできなかった。

3事業者ともプリペイドでのスマホ販売も行っている

各事業者のカタログを収集し1万円スマホをチェック

1カ月データ定額SIM付属のスマホを購入

しかしもしかしたらカタログに出ていない製品もあるのではないかと、Tmnのお店へ行って店員に相談をしてみた。すると同社の傘下ブランド、Mocheが販売するY201 Proならばオンライン販売で79.9ユーロだという。「ポルトガルに住所があれば買える」とのことだったが短期滞在だったのでホテル受け取りも難しい。店舗での販売価格はTmnと同じ89.9ユーロだ。

一方Mocheの端末を購入すると2.5ユーロのプリペイドSIMが付属する上に、なんと1カ月間データ通信の定額利用が可能とのこと。なおデータ通信量はおそらくFair Usage Policyにより500MBなどの上限があるかもしれないが、1週間以内程度の滞在なら十分使える容量ではないだろうか。一方同じ端末をTmnで購入するとこのオファーは受けられない。同じ端末がTmn、Mocheの両方で販売されている場合はMocheを選んだほうがよさそうだ。

だがMocheのY201 Proは89.9ユーロ。無料利用分の2.5ユーロを通信費/SIM代と考えそれを差し引いても87.4ユーロ、約10750円となる。1万円以下が目標の本企画だが、これ以外に選択肢が無いこと、オンラインで買えば79.9ユーロで約9830円になることから、750円のオーバーは今回は見逃すことにしてこちらを購入することとした。

HuaweiのAscend Y201 Proが89.9ユーロ、これが最安値スマホか

Mocheのオンライン販売では79.9ユーロで1万円を切る

Tmnの店舗でMocheの製品も扱われている

パッケージはかなり大きい。ポルトガルの特徴のようだ

ということでTmnのお店で購入したのだが、実はスタッフはポルトガル語とスペイン語だけ対応という人が多く、英語のわかるスタッフがわざわざ出てきて対応してくれた。Y201 Proのパッケージ内にはプリペイドSIMも入っており、自分でSIMを端末にセットすればすぐに使うこととができるとのことだ。