Chipset

5年前と比較して極端にベンダーが減ったマーケットがこれ。今ではIntel/AMD共に、自社でチップセットを供給しており、これ以外の互換チップセットベンダーはほぼなくなってしまった。もっとも、CPU側にGPUやメモリコントローラを統合し、さらにMobile向けにはI/Oまで統合したSoCを提供してゆくという方向性を考えるとチップセットが別というのは今後はマイナーになってゆくわけで、時代の流れから考えれば全く持って妥当な方向性ではあるのだが、自作ユーザーにはやや楽しみが減った感はある(Photo11)。

Photo11: 夜食にくらいつくまめっち。放っておくとスタッフ1・2号用のドライフード(シニア用)を食べてしまって栄養が不足するので、特別に缶詰を追加。他のスタッフに横取りされないように、筆者の机の上で食べさせているのだが、邪魔。

Intel Chipset(表12・13・14)

表12

表13

表14

まずトップエンドはIntel X79が2011年11月に登場したまま既に1年以上使われているが、残念ながら2013年一杯もこれが利用される。2013年8月頃にはIvy Bridge-Eベースの新しいCPUが投入されるかもしれないが、パッケージはLGA2011のままであり、既存のX79マザーボードも基本的にはBIOS Updateだけで利用できる予定だ。USB 3.0のNative Supportなどを期待していたユーザーにはちょっと物足りないかもしれないが、既にPCI ExpressはGen3対応になっているし、殆どのX79マザーボードに搭載されているRenesas ElectronicsのUSB 3.0コントローラはWindows 8ならばInbox Driverでサポートされているから、事実上スペック的に何か不足しているという事は殆ど無い筈だ。それもあってX79は更新しない、という事にしたのだと思われる。

もっともX79の前モデルであるX58(LGA1356)にしても、2008年11月に発表されてからX79がでるまでほぼ3年利用されたわけで、それを考えるとX79の次が2014年になるのは不思議ではない。X79は、例えばark.intel.comで見ても判るとおり"Desktop Chipset"ではなく"Server Chipset"として分類されており、であれば更新間隔がDesktop向けより長くなるのは致し方ないところだろう。

さてその下にあたるDesktop向け。7シリーズのときは、Ivy BridgeベースのCore iシリーズが発売開始される前に流通が始まるという不思議な現象に陥ったが、これは早くからマザーボードベンダーが、

  • Intel 7シリーズはSandy BridgeベースのCPUとも互換性がある
  • USB 3.0がNative Support
  • PCI Express Gen3が使える(ただしIvy BridgeベースのCPUと組み合わせた場合のみ)

と煽った関係によるもので、ユーザーから見ると明確な差としてあるのはUSB 3.0のNative Support位のものである(んで、そのUSB 3.0のWindows 8用ドライバが安定せず、泣いているユーザーが多い一方で、Z68+Renesas ElectoronicsのUSB 3.0コントローラという組み合わせが一発でWindows 8で動作したりするあたり、統合したのが幸せなのかどうかも微妙だったりするのがまた何とも……)。

さてそんな7シリーズであるが、まず2012年4月にZ77/Z75/H77/B75の4製品がリリースされ、2012年6月には後追いの形でQ77/Q75のBusiness向けが追加された。これらの構成はもう説明しなくともご存知であろうから、今回は割愛する。

で、今後の話。次のHaswellベースの製品はLGA1150に切り替わる関係でプラットフォームが一新される、という話は先にCPUの所でも説明した通り。これにあわせてチップセットも8シリーズに切り替わる訳だが、この8シリーズの最大の特徴は32nmプロセスへの移行である。

元々Intelは表14の様に、一つのProcess NodeでLogicとSoCを両方提供する、という形をもくろんでいた。これは全世代に共通する話で、例えば65nmプロセスのP1264を使った最初の世代は2006年のPresler/Ceder Millである。2005年に製造を開始して2006年投入だからこれはオンスケジュールだ。一方P1265が最初に採用されたのは2008年発表のIntel 4シリーズチップセットで、やや製造開始からもたついた感はあるが、まぁそれほど大きく離れていない。

ところが続くP1266は問題なく立ち上がったものの、これのSoC版であるP1267は立ち上げに事実上失敗。ごく一部のSoC製品(Intel CE4100など)だけが採用するに留まった。この結果AtomベースのSoCやチップセットは全部45nmをスキップする羽目になり、P1269の熟成を待たねばならなかった。そのP1269も、当初予定の2010年には投入できず、2011年あたりから製造を開始したものの、実際にこれを利用したAtomベースのSocであるMedfield/Clover Trailが市場に投入されたのは2012年に入ってからの事で、こちらも意外に大変だったことが偲ばれる。

Intel 8シリーズはこれに続くP1269を使う第二世代ということになるが、Medfield/Clover Trailには搭載されていないHigh Speed I/O(PCI Express、USB3.0 SATA 3G/6G)を搭載することになるので、こうしたものは8シリーズが最初になる。よってIntelとしては、こうした新機能が確実に動くようにする、というのが8シリーズにおける最大のテーマであり、その分新機能の追加などは最小限に抑えられているようだ。

8シリーズでは、まずCPUとの接続は引き続きPCIe Gen2 x4相当のDMI 2.0のままであり、またSATAのポート数も6つのままである。USBのポートも、3.0が4ポート+1.1/2.0×10の合計14ポートが継承されるようだ。強いて違いを挙げれば、7シリーズまではSATA/6Gのポートが最大2つに制限されていたのに対し、8シリーズでは6ポート全部がSATA/6G対応になったという程度だろうか。また目立たないところでは、従来Q77/Q75/B75では残されていたPCIのサポートが遂に削られるようだ。元々P1265では問題なくPCIをサポートできた(3.3V I/Oの駆動が普通に可能だった)が、P1269では「頑張れば可能」(High Voltage I/Oのオプションを利用すれば可能になる)という扱いになってしまった。これを入れる事は勿論可能だが、ダイサイズ的には不利になること、またそこまで頑張って入れてもPCIのニーズが減っていること、などから廃止になると言われている。

そんな訳で、ユーザーから見ると余り「おまけ」が無いのが8シリーズ世代であり、例えばDMIの高速化とかPCI Expressレーンの増加などは9シリーズに持ち越しになった形だ。

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