Graphics

5年前ですら、既にAMDとNVIDIAしかなくなっていたわけで、相変わらずこの2社による激しい市場競争が続いている。ただし絶対的なマーケットという意味では次第に縮小傾向にあるのは、CPU側にGPUが統合されつつあるからで、この結果としてややハイエンド向けに製品ラインナップがシフト、ローエンド向けは専らOEM向けになりつつある。その分、ハイエンドは細かく製品を分ける方向になってきており、相変わらずむやみやたらと製品数が多いという状況に大差はない(Photo12)。

Photo12: まめっちの魅惑(?)の後頭部。

AMD(表17・18)

表17

表18

TSMCの28nmプロセスの立ち上がりにあわせて上手くGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャを採用したTahitiコアのRadeon HD 7970を2011年12月に立ち上げたAMD。これを利用した派生型であるRadeon HD 7950とか、これのシェーダ削減版であるPitcain/Cape Verdeコアの製品をRadeon HD 7800~7700グレードで2012年1月~3月に投入、OEM向けのRadeon HD 7600~7400シリーズを除き、Top to Bottomでいち早く28nmプロセスを利用する環境を整えた。

勿論この後もNVIDIAとの製品競争の関係で、新しい構成のものを幾つか追加している。例えば2012年6月にはRadeon HD 7970の動作周波数を1GHzまで引き上げたRadeon HD 7970 GHz Editionが追加されたし、2012年8月にはTahitiコアをベースにしながらシェーダの無効化を行い、またメモリバスも256bitに減らしたRadeon HD 7870 LEを投入している。このRadeon HD 7870 LEはPitcairnコアと同じ7870の型番を使っているので紛らわしいが、中身は別物だったりする。また2012年末にはRadeon HD 7870 XT with Boostなる製品がSapphireから投入されたが、これはRadeon HD 7870 LEのやや下にあたる構成をSapphireが独自に行ったもので、AMDが公式に発表したものではない。

その一方、当初からNew Zealandという名前で噂されていたRadeon HD 7990は遂に公式には出荷されずじまいであった。GPGPU向けにはAMD FirePro S10000としてRadeon HD 7950相当×2の構成の製品が公式に投入されたものの、GPU向けには遂に登場することなく終りそうだ。勿論、幾つかのベンダーは独自製品という形でこれにチャレンジしており、例えばPowerColorのDEVIL13とか、HD7990 6GB GDDR5がこれにあたる。ただAMDの立場はあくまで「Dual Radeon HD 7970」で、これをRadeon HD 7990という商品として提供してはいないという立場だ。流石にTDPが550Wとかいう製品を公式に認めるのは無理がある、という事だったのだろう。

さて、これに続く製品として2013年にはSea Islandsシリーズという製品が予定されている。製造プロセスはTSMCの28nmのままである。TSMCは20nmプロセスの開発も急いでおり、AMDもこれを最初に利用できるLead Customerの一社であるのは間違いないのだが、TSMCの20nmは現状Risk Productionが2013年第3四半期、Volume Productionは2014年前半を予定しており、仮にこのRisk Productionを使い、かつ全く問題が無かったとしても製品が出せるのは2014年初頭、実際には2014年の第3四半期あたりが最速のスケジュールになるだろう。なので2013年中はまだ28nmプロセスで頑張る必要がある。これにあわせてSea Islandsは28nmのままであるが、搭載されるアーキテクチャはGCN 2.0に更新される。もっともRadeon HD 7000シリーズのGCNから何が変わるのか、については今のところ公表されていない。

さて、スケジュールで言うとまずハイエンドにあたるRadeon HD 8970相当の製品(Venus XT)が2013年3月末~4月位を予定している。このVenusは派生型としてPro/LEも用意しており、同じもしくは1カ月程度の間を空けて順次投入されることになるだろう。

この下に当たるもののコード名が微妙なところで、一時期はSunというコアがあるとされていたのだが、まだこれが継承されているかどうかは不明である。これがやや遅れて5月末~6月頭に投入される。またその下にはOlandというファミリーがあり、これが6月もしくは7月あたりに投入される、というのが現在の見込みである。

ちなみに表17にはさらにRadeonH HD 8670/8470というコアを記しているが、これはOEM向けでありRadeon HD 7000シリーズのリナンバリングになる模様だ。そもそもRadeon HD 7600~7400シリーズが実際にはRadeon HD 6000シリーズのOEM向け型番であり、同じことが繰り返される形だ。恐らくCape Verdeベースのコアで動作周波数やシェーダ構成を変更してRadeon HD 8600~8400シリーズを構成することになると思われる。投入時期は何しろ既存のコアをベースだから比較的早く、恐らくVenusコアの投入時期とほぼ同じタイミングであろうと想像される。

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