6月中旬。関東甲信越地方の梅雨入りが発表された数日後に、編集Hのデビュー登山が決行された。心配していた雨には降られなかったものの、麓から見上げる山の上部は灰色の雲に覆われていた。当日は、PROTREKの開発者であるカシオ計算機の牛山和人氏も同行してくれることに。登る山は、牛山氏がセレクトした候補の中から、南アルプスの前衛峰のひとつ日向山(1659m)を目指すこととなった。

りゅうずでラクラク高度補正

出発前に登山口で高度を補正する

登山口に到着すると、牛山氏から「まずはここで高度計の補正をしましょう」と指示が飛んだ。

牛山氏「高度は、圧力センサーで計測した気圧をもとに割り出しています。そのため、同じ場所でも気圧配置の変化によって、表示される高度が変わることがあります。正確な高度を計測するには、登山口や山頂など高度が分かる場所で補正することが肝心なんです」

PRX-7000Tの右下のボタンを押して高度計測モードにすると、もっとも短い「モード針」が文字盤の「m」の部分に移動。

その後「時針」「分針」「秒針」がそれぞれ独自に動き、時針が「1」、「分針」が「2」、秒針が「2」の部分を指す。時針が1000mの位、分針が100mの位、秒針が10mの位を示すため、計測された高度は「1220m」。一方、地図を見ると、登山口の標高は「1120m」。つまり、100mの誤差があることがわかる。補正方法は簡単で、りゅうずを引いてロックを解除し、分針が「1」、秒針が「2」の位置に移動するまで回すだけ。りゅうずを押してふたたびロックすれば、補正は完了だ。

高度補正の手順(音声が流れますのでご注意ください)

それにしても、3本のアナログ針で高度を示すなんて、これまでの多機能時計にはない、まったく新しい表現方法である。「高度はデジタルじゃなきゃ表示できない」と考えていたが、その先入観を見事に打ち破ってくれた。また、アナログ時計ならではのりゅうずのおかげで、操作性がよりシンプルに直感的になっている。登山口で早々にPRX-7000Tの"斬新さ"を実感することができた。

ワンボタンで現在の高度を確認。目標を立てやすくヤル気も続く !

林道から登山道に入る。はじめはカメラに目線を送る余裕のあった編集Hだったが……

ゆるやかな林道を45分ほど歩くと、いよいよ本格的な登りがはじまった。

「ガンガン行きますよ!」とはじめは威勢がよかった編集Hだが、ところどころにロープやハシゴが設置された急こう配の斜面の洗礼に、すぐバテ気味に。30分も登らないうちに、「あと、どれぐらいですか ?」と牛山氏に聞きだす始末だ。そんな編集Hに対して、牛山氏は「現在地を知りたいときも、ぜひ高度計を使ってください」とアドバイスする。

言われるがまま、高度計測モードに切り替えると、3つの針は1390mを指した。次に地図を広げて、自分たちが登っている登山道上の標高1390m地点を探す。そこが現在地だ。日向山頂上は標高1659mなので、あと270mは登らなくてはならない。まだまだ先は長い。ふたたび登りはじめた編集Hは、「水戸黄門のオープニングテーマが頭のなかで流れてきましたよ……」とぼやいていた。

ヘロヘロになりながら、高度計測モードで現在地の高度を確認する

休憩時、ゼリー飲料を口にして、思わず笑みがこぼれる

ちなみに、従来のPROTREKではいったんモードを切り替えると、ほかの操作をしない限り、そのモードが維持された。しかし、PRX-7000Tではモードを切り替えて2分が経過すると、自動的に時計モードに戻るシステムになっている。これもアナログ"時計"であることにこだわった機能である。

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