住友電気工業(住友電工)とソニーは6月21日、発振波長530nm帯で100mW以上の光出力を有する純緑色半導体レーザーの開発に成功したことを発表した。

半導体レーザー(左)と純緑色半導体レーザーの発振の様子(右)

現在、緑色レーザーとしては、赤外光を光学素子により波長変換したレーザーが主に用いられているが、光源が大型かつ高価であるという課題があったほか、従来のGaN系材料を用いた緑色レーザーでは、発振波長が520nm以下で光出力も数十mW以下に限定されているため、充分な輝度が確保できていなかった。

半導体レーザーと構造素子のイメージ

今回、両社は純緑色の半導体レーザーを実用化するために、住友電工の半極性GaN基板と結晶成長・加工技術とソニーのGaN系レーザー技術を組み合わせ、半極性GaN基盤を用いて、構造設計、結晶成長、加工、電極など半導体レーザーに関わるすべてのプロセスに新規技術を導入、または技術改良を実施、従来のGaN結晶のc面に対して75度の傾きを有する半極性GaN基板(半極性{2021}面)を用いることで、530nm帯で必要となる高In組成の発光層を均一かつ安定的に作製することが可能となり、発振波長530nm帯で100mW以上の光出力を有する純緑色半導体レーザーが実現された。

左がc面(従来面)のイメージ図、中央が半極性(2012)面のイメージ図、右が2インチ径の(2021)基板のイメージ

また、今回開発された純緑色半導体レーザーは、光電変換効率8%以上を実現し、高信頼性を確保していることが確認されたとのことで、研究チームでは、これにより光の三原色(赤・緑・青)レーザー光源が揃うことになり、高輝度と広色域を実現するレーザープロジェクターや小型・軽量・低消費電力を生かした携帯型レーザープロジェクターなど、幅広い用途への活用が期待されることから、今後も純緑色半導体レーザーのさらなる高出力化と高効率化、高品質化を目指し、開発を進めていくとしている。

内部電界グラフ