アイファイジャパンは4月10日、無線LAN内蔵SDメモリカード「Eye-Fiカード」の新製品として、「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」を13日から発売すると発表した。NTTドコモと協業することで、ドコモのスマートフォンユーザーに対して訴求していきたい考えだ。価格はオープンプライスで、実売想定価格は5,980円。

「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」

米Eye-Fiは、世界で初めてという無線LANを内蔵したSDカードを販売し、2008年のニコンとのコラボレーションを皮切りに、デジタルカメラメーカーのサポートを拡大してきた。Eye-Fiカードでは、周囲に登録した無線LANのアクセスポイントがある状態で撮影すると、カードに搭載された無線LAN機能を使って画像を転送してくれる。画像共有サイトや自宅PCなどへの画像の転送も可能だ。併せてオンラインストレージサービスも展開しており、カードとサービスを組み合わせたソリューションを提供している。

すでに主要カメラメーカーがEye-Fi対応製品を投入済み

2012年からはパナソニックも対応を開始

パナソニックのプロ向けビデオカメラやキヤノンのハイアマ向けのデジタル一眼「EOS 5D Mark III」といったカメラもEye-Fi対応

2011年には、アドホック接続の一種である「ダイレクトモード」機能を追加し、Eye-FiカードとPC・スマートフォンなどを無線LANで直接接続し、インターネットを経由せずに画像を転送する機能を搭載。カメラで撮影してすぐにスマートフォンに転送、そこからTwitterやFacebookなどに投稿する、といった使い方ができるようになった。さらに今春のオリンパスの新製品では、カメラ側で選択した画像だけをスマートフォンなどに送信することが可能になった。

カメラで選択した画像の転送が可能なオリンパスのコンパクトデジカメ(写真はSH-25MR)

Eye-Fi用のAPIは40以上が用意されているが、そのうちカメラ側に採用されたAPIは「5つぐらい」(アイファイ代表取締役 田中大祐氏)であり、選択画像の送信機能のようなAPIは、Eye-Fiカードに対応したカメラであればファームウェアアップデートで機能の拡張が可能になるそうだ。

今回の新製品では、新たに「スマホかんたん設定」機能を搭載。カード自体のスペックは既に発売されている「Eye-Fi Mobile X2 4GB」と同等だが、従来は無効化されていたダイレクトモードを、工場出荷時から有効化し、パッケージにQRコードと10ケタの数字が記されたスタートカードを同梱して販売を行う。Androidスマートフォンのユーザーは、QRコードを使うなどしてEye-Fiアプリをダウンロードし、10ケタの数字入力あるいはQRコードを読み込んでカードの初期設定を行う。

スマホかんたん設定を搭載した「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」

従来の製品では、Eye-Fiカードの初期設定は付属カードリーダーをPCに接続して行う形を採っていたが、今回の製品ではスマートフォンのみで初期設定を行えるようになった。

スタートカードが同梱され、2ステップでEye-Fiカードの設定が可能

既存のEye-Fiカードユーザーでも、Android用Eye-FiアプリにQRコード読み取り機能が追加されており、バージョンアップをすることで同じ機能が利用できるようになる。

ドコモとの協業で、新たに「お便りフォトサービス」にも対応。お便りフォトでは、スマートフォンのメールを使って画像を送信すると、ドコモのデジタルフォトフレーム「フォトパネル」で画像を表示できるサービスだが、今回、転送先にお便りフォトを設定し、カメラで撮影した画像を自動転送できるほか、PC用管理ソフトの「Eye-Fi Center」から画像をまとめて送信し、フォトパネルに画像を表示できるようになった。スマートフォンで撮影した画像だけでなく、デジカメで撮影した画像も簡単に送れるようになったのがメリットだ。なお、既存ユーザーも「Eye-Fi Center」のバージョンアップで同機能に対応できる。

ドコモでは、画像の持ち歩きをスマートフォンで、画像の表示で「フォトパネル」をそれぞれ活用。さらにデジカメ画像を活用するためにEye-Fiと連携し、その画像を「フォトパネル」に送信できるようにしたことで、写真や動画が活用シーンをさらに拡大していく

また、今後、ドコモのサービスとEye-Fiの機能を使って、新たなサービスも展開していきたい考えで、ドコモショップなどの販売チャネルを活用し、スマートフォンユーザーへ訴求を図っていく模様である。今回のスマホかんたん設定への対応は、「特に日本でこうした要望が強かった」(Eye-Fi・Yuval Koren CEO)ため、世界に先駆けて搭載されたが、今後グローバルでの展開も検討していく。また、iOSへの対応も進めていくとのことである。

カードスペックは、容量が4GB、スピードクラスがClass 6で、画像と動画の転送機能を搭載。RAW画像の転送は非対応で、無線LANアクセスポイントの位置情報を使ったジオタグ機能は有料で追加できる。なお、Eye-Fiでは、前述した通り、クラウドサービスとして「Eye-Fi View」を提供しているが、新製品ではそのプレミアムサービス(月額480円/年額4,800円)が3カ月間無償で利用できるキャンペーンも用意されている。

ドコモとEye-Fiは、今年2月に業務提携で合意。約1,4000ドルの出資を行っているほか、Eye-Fiカードとお便りフォトの連携に向けた協業を発表しており、今回の発表はその成果となる。Eye-FiはKDDIと協業もしており、スマートフォンで撮影した画像のバックアップサービスとしてEye-Fi Viewを使った「au one Photo Air」を提供しているが、こちらも従来通り提供を続ける、としている。

左からNTTドコモ ユビキタスサービス部長の高原幸一氏、Eye-Fi CEO・Yuval Koren氏、アイファイジャパン代表取締役・田中大祐氏

(記事提供: AndroWire編集部)