HPはPC発展の歴史と共に歩んできた企業だ。ATA、PCIといったハードウェア規格の開発と標準化への取り組みの中心にいるだけでなく、フロントラインパートナーシップを結んでいるMicrosoft社と共にOSの64bit化にいち早く取り組んできた。いわば業界全体を牽引してきた実績がある。

「そのような歴史の中で培ってきた技術力は、現製品群にも活かされています。マザーボードの設計やBIOSの開発などのノウハウが、製品の中でも息づいているのです」と岡本氏は語る。

例えば、電力管理の効率化やケース内のレイアウトを改善しエアフローを高めるなど、至る所にその工夫がうかがえる。

「デスクトップ製品には、BIOS設定でケースのカバーを物理的にロックして、開かないようにする『スマートカバーロック』機能を搭載したモデルもあります。これはHP独自の技術です」と、岡本氏が語るように、BIOS上からシステムを管理するテクノロジーを開発するなど、ユーザービリティの高さや、セキュリティを考慮した取り組みが随所に活かされている。

震災以降、特に企業に関心が高い省電力に関しても、さまざまな取り組みが行われている。

ハードウェアでは、最新CPUの採用のほか、システムボードやBIOS、筺体内部の冷却をするためのファンなどを独自に設計開発を行うことでPCの省電力化を進め、最新のPCの消費電力は、4年前のPCに比べ約1/4になっている。そのため、省電力性に改良を重ねた最新のPCに入れ替えるだけで、年間の電気代を大幅に抑えることができるのだ。

国際エネルギースター適合時の消費電力削減率。4年前のPC比べ約1/4になっている(4年前のPCとしてHP Compaq dc7700 SFとの消費電力比較)

「概算ですが、電力料金の差で考えると、200台規模でのシステム入れ替えをした場合、5年間で300万円もの開きがあります」と岡本氏は説明する。

以下は、新旧デスクトップPCの処理速度、消費電力を比較した動画だ。


また、ハードウェア的な設計だけでなく、独自ツールによって電力消費量をコントロールする仕組みも取り入れている。すべての製品にプリインストールされている「HP Power Assistant」では、デスクトップ製品およびディスプレイの電力消費状況をグラフで確認することができる。

HP Power Assistantの内容は、以下の動画で詳細に紹介されているので、参考にするといいだろう。


パーソナルシステムズ事業統括 PSG製品統括本部 コマーシャルビジネス本部 モバイルビジネス部 プロダクトマネージャー白木智幸氏

「ノート製品においては、バッテリへの充電時間をピーク時間外に設定することも可能です」とパーソナルシステムズ事業統括 PSG製品統括本部 コマーシャルビジネス本部 モバイルビジネス部 プロダクトマネージャー 白木智幸氏も続ける。

HP Power AssistantはGUIで電力管理が行えるため、誰でも容易に節電効果の高いPC運用が可能だ。これは企業にはとっても大きなメリットだろう。

近い将来、電気料金の変動があった場合、その差はますます大きくなる。節電という社会的な取り組みと、運用コストの削減の両面で考えていかなければならない企業も多いはずだ。HPではこれに関して「消費電力診断ツール」を無償でリリースしている。Webベースのサービスなので、簡単にシミュレーションすることができる。

また、実際に企業を訪問して使用電力量を診断するコンサルティングサービス「ECO診断サービス」も提供しており、報告書をそのまま社内稟議で活用することも可能だ。

企業を訪問して使用電力量を診断するコンサルティングサービス「ECO診断ソリューション」