外見上の大きな特長は、天面の右手側に同じ形状をした2つのダイヤルを並列配置していること。絞り優先AEモードを選んだ場合、左のダイヤルでは「絞り値」を、右のダイヤルでは「露出補正」をそれぞれ素早く設定できる。加えて、背面の十字キーの周りにあるコントロールホイールでは「ISO感度」の設定が行える。

この3つのダイヤルによる操作は「トライダイヤルナビ」(トリプルダイヤルコントロール)と呼ばれる新発想のユーザーインタフェースだ。一般的に使用頻度が高い機能を、右手親指を動かすだけでダイレクトに調整可能になっている。

トライダイヤルナビで「クリエイティブスタイルセット」を設定中の画面。左ダイヤルでクリエイティブスタイルのモードを、右ダイヤルで各パラメータの度合いを、背面ダイヤルでコントラスト/彩度/シャープネスをそれぞれ設定できる

トライダイヤルナビの「カスタムセット」を利用して、左ダイヤルで画質モードを、右ダイヤルでピクチャーエフェクトを設定中の画面

初期設定の状態では、前述した「絞り値/露出補正/ISO感度」の3つを調整でき、これを「露出設定セット」という。さらに、シャッターボタンの横にあるナビゲーションボタンを押した場合は、「露出設定セット」が「ホワイトバランスセット」や「フォーカスセット」「クリエイティブスタイルセット」など他のセットに順次切り替わる。

グリップ部のナビゲーションボタンを押すと、セットの1~4が順番に表示される。そのセットの種類は7種類から好きなものを選択できる

例えば、「ホワイトバランスセット」ではプリセットの選択やプリセット値の微調整ができ、「フォーカスセット」ではフォーカスエリアの選択やフレキシブルスポットの調整ができる。最初は戸惑う部分もあるが、使い込めばすぐに慣れることができ、利便性のよさを実感できた。割り当て機能をカスタマイズすれば、いっそう柔軟な操作が可能だ。

カスタムセットでは、左/右/背面の各ダイヤルの割り当て機能を、自分の使い方に応じてカスタマイズができる

また、背面の4つのカスタムキー(「AF/MF」ボタン、十字の右キー、ソフトキーB、ソフトキーC)についても、割り当て機能の変更ができる。自分の撮影スタイルに応じて、各ボタンの内容をきっちりと設定しておくといいだろう。

気になったのは、各種機能へのアクセス性に優れる反面、さまざまな機能を設定しすぎると元にもどすのに手間取ること。同社のデジタル一眼「α77」とは異なり、各種の設定状態を記憶する「MR」モードがないのが惜しい。全体としては、小型ボディの限られたスペースでありながら、多機能を効率よく設定できる操作系といえる。

カスタムキー設定では、「AF/MF」ボタン、十字の右キー、ソフトキーB、ソフトキーCの4ボタンの割り当て機能を変更できる

「DISP」ボタンを押した際に切り替わる画面表示の種類は、8通りから選択できる