1月18日~20日の3日間にわたり、東京ビッグサイトで「次世代照明技術展 第4回 ライティングジャパン」が開催されている。同展示会は、部材や製造機器、測定機材などの展示が中心で、照明器具やランプなどの機器展示はそれほど多くはないのだが、今後の照明器具の流れを知るるうえでは、参考になる展示会だ。この記事では、一般消費者が直接利用することが可能な機器で、特に興味深かったものをピックアップし、紹介していきたい。

強制冷却で、より大光量を実現するLED電球 - 恵安

現在市販されているE26ソケット用のLED電球は、明るいものでも白熱電球60W形~100W形相当で、全光束は1,000~1,500lmクラスだ。これ以上の明るさのLED電球が存在しない理由のひとつが、冷却の困難さだ。より明るいLED電球を作ろうとすると、LEDが発する熱を何とかしなければならない。LEDは電気を効率よく光に変え、あまり熱を出さないと思われている。ある意味では正しいのだが、それは白熱電球と比較した場合の話だ。白熱電球が消費する電力のうち、光として使用されるのは2~3%程度にしか過ぎない。それ以外は熱として放出される。LEDはそれよりも効率は良いが、光として放出されるのは10%程度で、それ以外は熱となる。大光量のLED電球に大型のヒートシンクが取り付けられているのは、その熱を効率的に逃がすためだ。

サークラインや直管蛍光灯は参考出展

強制空冷で2,200lmの大光量LED電球

さて、恵安といえば、マイナビニュースの読者の方には、Antecなどの製品を扱うPC系の代理店というイメージを持つ人も多いだろう。しかし、このところ液晶テレビなどのAV機器や照明にも力を入れており、今回のライティングジャパンにもブースを出展している。

同ブースには、参考出展のLEDサークラインや直管LEDなども展示されているが、中でも注目技術が、LED電球だ。上の写真(右)を一見すると少し大きめのLED電球といった感じで、ヒートシンクも搭載されていない。ところが、実はこのLED電球の全光束は2,200lmもある。このような明るさを実現できる理由は、この金属のカバーの下に隠されている。

従来のLED電球は、ヒートシンクに触れる空気に熱を逃がすことで、放熱を行っていた。ヒートシンクの表面積が大きければ大きいほど、より多くの空気に熱を逃がすことが可能になる。しかし、ある程度の熱を持った空気には、それ以上は熱を逃がすことができない。それを根本から改善するのが、強制空冷方式だ。昔のGPUでは、チップの上にヒートシンクが取り付けられていただけだったが、より高速な最近のGPUでは、ヒートシンクにファンが取り付けられているケースが多い。このLED電球でも、それに近い仕組みが採用されている。同社によると、中国製のLED電球の中には、実際に冷却のためのファンを装備したものも存在するそうだが、同社はあえてその方式は採用していない。同社が採用しているのは、コンデンサーを振動させるという方式だ。仕組みとしては、圧電スピーカーに近い。電圧をかけることでコンデンサーを振動させ、それによって空気の動きを作って強制冷却を行っている。コンデンサーを使用した場合、ファンを使用した場合に比べて耐久性が高くなるとのことだ。なお、会場に展示してあったモデルは、最大で2,200lmの明るさだったが、同社では2,500lmのモデルまで試作が行われている。

バッテリーを内蔵したLED電球 - ラブロス

ラブロスは、「マジックバルブ」で知られるメーカーだ。マジックバルブは、LED電球にバッテリーを内蔵した製品。日常的にはLED電球として利用し、非常時には懐中電灯として使用できる。LED電球の形のままだと懐中電灯としては使いにくいが、柄の部分は引っ張ると伸びるようになっており、ここに取り付けるためのストラップアタッチメントも別売されている。マジックバルブはE26ソケットに対応したLED電球だが、最近では一般家庭でE26ソケットが使われている例が少なくなってきている。そこで発売したのが、写真の電気スタンドだ。低価格ではあるが(2,950円)、ベース、デスククリップの兼用で、白熱電球に比べて重さのあるLED電球でも安定する、しっかりとした構造を持っている。

バッテリー内蔵のLED電球「マジックバルブ」

ストラップのオプションも販売されている(500円)

マジックバルブを光源とするデスクスタンド

低価格LEDシーリングライトと人感センサー付きLED電球 - アイリスオーヤマ

商談のための展示という意味合いが強いライティングジャパンの性格上、一般ユーザー向けの製品は少ない。そこで、グループ企業にホームセンターを抱え、ダイレクトにユーザーと向き合っているアイリスオーヤマブースをのぞいてみた。同社は日用品や家具、家電製品などを扱っているが、中でも近年はLED照明や生活家電に力を入れており、今回のライティングジャパンだけでなく、照明関係の展示会には、必ずと言ってよいほど出展している。同社が展開する照明ブランドは、「ECOLUX」(エコルクス)。法人を対象とした直管LEDや照明器具だけでなく、家庭向けのLED電球、LEDシーリングライトなどでも、豊富なラインナップを揃えている。

今年のライティングジャパンでは、LEDシーリングライトを出展しているブースが増えている。市場で好調な動きを見せているLEDシーリングライト、中でも、購入者にとって導入1台目となるだろうリビング向けの高機能モデルではなく、寝室や子供部屋などで使われることを想定したシンプルなLEDシーリングライトは、現在大きな注目を集めている。下の写真は同社のLEDシーリングライトなのだが、サイズの大きなものが12畳用で、小さいほうが8畳用だ。調光機能のみを備えたタイプと、調光・調色機能を備えたタイプがあり、シンプルな調光のみのモデルでは、8畳用が14,800円から、12畳用でも19,800円からという低価格。蛍光管を使用したシーリングライトに近い価格を実現している。同社によると、ECOLUXのLEDシーリングライトは、生産が追いつかないほどのヒット商品となっているとのことだ。

シンプルで低価格なLEDシーリングライト

また同社では、LED電球でも特色のある製品がヒット作となっている。それが、LED電球自体に人感センサーを備えたモデルだ。下の写真が、そのE26口金用の人感センサー付きLED電球だ。LED電球の中心に見える円形の部分が人感センサーで、人が近づくと点灯し、離れると5分後に消灯する。また、周囲の明るさが一定以上の場合には点灯しないようになっている。LED電球は白熱電球に比べて消費電力が少ない。それでも、人のいない場所で点灯させておけば、明らかに無駄な電力を消費する。対策としては器具側にセンサーを搭載するのが一般的だが、そうすると、人感センサーを使用するためだけに器具ごと交換する必要が出てくる。この人感センサー付きLED電球は、電球色相当タイプが全光束250lm(白熱電球25W形相当)と650lm(白熱電球50W形相当)の2タイプ、昼白色相当が全光束300lm(白熱電球25W形相当)と850lm(白熱電球60W形相当)の2タイプだ。E26口金用の照明器具は、LED電球が下向きに設置される例が多いが、E17口金の照明器具では、サイドに口金が設置されているダウンライトのように、横向きに設置されるケースも少なくない。そこで、E17口金タイプでは、LED電球のサイドに人感センサーを設けたモデルも用意されている。E17口金タイプは、電球色相当が250lmで、昼白色相当が300lm(いずれも白熱電球25W形相当)だ。

人感センサー付きLED電球

E17ソケット用では、サイドに人感センサーを配置したLED電球もラインナップ

なお同社では、家庭用のLED電球だけでなく、法人向けが中心の直管LEDでも、明るさセンサーや人感センサーを内蔵したランプを参考出展している。

こちらは、参考出展の人感センサーを搭載した直管LED

LEDでスポット暖房? - 八州電業

LEDを使用した照明以外のプロダクトも紹介したい。下の写真は八州電業の「LED Hot Pad」だ。椅子の座面や背もたれ部分に置いて体を温めるという製品で、温度は35度・40度・45度の3段階で設定することが可能。先に述べたように、LEDでも供給したエネルギーの多くは、光ではなく熱となって放出される。LED照明という観点でみた場合、放出される熱は電力ロスという意味合いを持つものだが、このLED Hot Padではその熱こそが重要で、光自体にはあまり意味がない。DC12Vで動作し、製品にはACアダプターが付属している。定価は14,000円で、会場では1万円での限定販売が行われている。なおLED Hot Padは、この冬ではなく、来冬から本格的な販売が開始されるとのことだ。

LEDで身体を温める「LED Hot Pad」

関連記事
【レポート】次世代照明 技術展 第3回ライティングジャパン開催 (2011年1月20日)
【コラム】男の家電 (72) LED時代の家庭照明(7) (2012年1月1日)
【コラム】男の家電 (71) LED時代の家庭照明(6) (2011年12月27日)
[エコプロダクツ2011]LED照明や独自省エネ技術が目立つ家電メーカーブース (2011年12月21日)