白いバイザー部分の流線型フォルムが美しい「HMZ-T1」

CEATEC JAPAN 2011のソニーブースで、体験コーナーに行列が絶えなかったヘッドマウントディスプレイ(以下「HMD」)。この注目の製品「HMZ-T1」が、11月11日に発売された。そこでこの記事では、本製品のディテールを舐めるようにチェック。また、実際に装着して本機の実力を存分に体験・体感した感想を報告していこう。

まずは外観からチェック。これはもう、はっきり言ってSFそのもの。同社のかつての「グラストロン」やオリンパスの「Eye-Trek」など、既存のHMDに比べて一歩も二歩も先鋭化されたデザインは、映画「トロン」やイラストレーター空山基氏が描いた女性サイボーグを彷彿させる。そういえば、あのAIBOも初代モデルは空山基のデザインだった。そう考えるとHMZ-T1は、ソニーが考える未来のイメージを正統的に受け継ぐプロダクツと言えそうだ。

電源オンの状態で先端が青く光る演出が、男子のハートをわしづかみ!

後頭部を支える2点式のバンド。上のバンドは樹脂製だが、下のバンドはゴム製。どちらも頭のサイズに合わせた調整が可能

接眼レンズは皮脂が付着しやすいので、こまめな掃除が不可欠。汚れたままだと映像が曇ったりフレアが出たりしてしまうので、常にキレイにしておきたい

バイザー下側には眼幅調整スイッチやメニューボタン、十字キー、ボリューム調整ボタン、電源ボタンが集中してレイアウトされている。十字キーでは再生/一時停止、前のチャプターへ移動/巻き戻し(長押し時)、次のチャプターへの移動/早送り(長押し時)が可能

額を支えるクッションは可動式で、センサースイッチを兼ねる。これが額で押されると、映像が表示される仕組みだ。クッション表面のビニールはヘッドホンの耳当て部分にもよく使われる素材

上下前後に引き出して位置調整が可能なヘッドホンを装備。5.1チャンネルのバーチャルサラウンドに対応する

HMZ-T1は装着時の視野確保のため、バイザー下部にほんの少しだけ隙間が空く。だが、それでも外光が気になる人は付属のライトシールドを装着しよう。これで完全に画面しか見えなくなる

HMZ-T1本体側から出ているケーブルは引き抜くことはできない。ケーブル長は3m以上と十分な長さ

【写真上】プロセッサユニット「HMZ-T1P」は、横幅18cm弱の小箱といった風情。正面端子にHMZ-T1のケーブルを接続する。【写真下】背面には、HDMIのINとOUTの端子を装備。IN側にゲーム機やプレーヤー、OUT側にテレビをつないでおけば、HMZ-T1がスタンバイ状態のときは再生機側のHDMI信号がテレビへとパススルーされる。HMZ-T1とテレビでの同時視聴は不可

HMZ-T1の接続には、HDMI端子を使用する。だが、HMZ-T1からのコードを直接プレーヤーに接続するのではなく、黒い弁当箱のようなプロセッサユニット(「HMZ-T1P」)を経由して接続するのだ。ただし、このプロセッサユニットの構造は非常にシンプルで、HMZ-T1への電源供給とHDMI信号の受け渡しをしているだけのようだ。そんなにシンプルなら、わざわざ別ユニット化する必要はなさそうにも思えるが、本体からこれらの機能を切り離せるメリットは重量やスペース、そして排熱の面からやはり大きいといえそうだ。

HMZ-T1の被り方にはちょっとした作法があり、これを知らないと装着が意外と難しい。まず、バイザー上部にあるボタンを押しながらバンド全体を最大限に引き出し、額をクッションパッドに押し付けるように被る。その後、後頭部のバンドを片方ずつ前方へ引き戻すのだ。これで簡単かつしっかり装着できる。

電源を入れると、暗闇の空間にWELCOME画面が浮かぶ。すでにちょっとした驚きを覚えるが、まだまだと昂ぶる気持ちを抑えつつ、バイザー下部のスライドスイッチを動かして眼幅を調整。もっともクッキリ見える場所に合わせたら、メニューボタンを押して、次の画面へ。ここでは、水平に装着されているかどうかをチェックする。以上が、起動毎に行う操作。こう書くとやや面倒に感じるが、自分だけで使うのなら、実際はメニューボタンを2回押すだけなのでご安心を。なお、購入してからの初回起動時のみ、最初に言語選択画面が表示される。

プレーヤーの接続例。プロセッサユニットを経由して接続することさえ踏まえれば、接続に悩むことはない。なお、HDMIケーブル1本が付属する

起動時に表示されるWELCOME画面で、眼幅を調整する。なお、この写真を含め、画面写真は片側のレンズからかなり無理矢理撮影しているので、多少の歪みや流れがあるが、ご了承いただきたい