2004年11月、初号機「OCW-500」が誕生して以来、OCEANUSはカシオの高級アナログウオッチブランドとして躍進を続けてきた。そこで今回は、20周年記念モデル「OCW-S7000BV-2AJR」の魅力について聞くとともに、OCEANUSが積み重ね、熟成してきたコンセプト「Elegance, Technology」(エレガンス,テクノロジー)の歴史を振り返ってみようと思う。
今回は、カシオ計算機でOCEANUSの商品企画を担当されている佐藤貴康氏にお話を伺った。
2024年は「カシオ計算機時計事業50周年」と「OCEANUSブランド誕生20周年」が重なるという特別な年。そこでカシオは6月にOCEANUSのニューモデル4本(!)を発売した。その内容は以下の通り。
カシオブランド横断モデル「Sky and Sea」シリーズから
・「OCW-S7000SS-2AJR」275,000円
OCEANUS20周年記念モデルとして
・「OCW-S7000BV-2AJR」(世界限定1,200本)258,500円
・「OCW-S6000BV-1AJR」(世界限定350本)423,500円
・「OCW-T6000BV-2AJR」(世界限定1,000本)162,800円
製品の詳細は別記事 『カシオ時計事業50周年記念モデルが登場、G-SHOCK/オシアナス/カシオトロンなど』と、 『カシオ、ダイヤルに白蝶貝を使用した「OCEANUS」20周年記念モデル』をご覧いただくとして、まずは20周年記念モデルのテーマ「航海」の意味を訊いた。
佐藤氏「OCEANUSは、その名前からもお分かりいただけるように、海をイメージしたブランドです(※1)。そこで、これまでの20年間、大小の波を乗り越えて進み続けてきた歴史を大海原での航海になぞらえて、テーマとしました。
お客様に支えられて、20周年を迎えることができたという感謝の意味も、もちろんあります。そして、お客様に支えられ続けることで生まれたデザインや技術、OCEANUSのコンセプト「Elegance,Technology」(エレガンス,テクノロジー)の「現在の到達点」として、3つのモデルをリリースしました」
今回は、その代表格ともいうべきOCEANUS Manta「OCW-S7000BV-2AJR」を取り上げ、その見どころを聞く。
佐藤氏「OCEANUSのハイラインMantaシリーズの最新モデル、『OCW-S7000』をベースに、OCEANUSの魅力のすべてを込めたモデルです。電波ソーラー+Bluetoothによるスマートフォンリンク機能をはじめ、モジュールの薄型化によりチタンケースもわずか9.5mmに薄型化。スリムで美しく、快適な着け心地を実現しました」
「OCW-S7000」については、別記事 『OCEANUS Manta「OCW-S7000」のデザインを写真で紐解く』をご参照いただきたい。
これに、OCEANUS20年の航海で得られた特別要素の数々が付加された。
佐藤氏「文字板は白蝶貝です。大海原の荒波をイメージして、貝の斑(ふ)が際立つ部分を厳選して使用しました。
これをラッピング処理して、両面から新色の青を着色。明るいところから暗いところまで、階調が豊かで深みのある高品質な文字板になったと自負しています」
ただ、このように凝りに凝った文字板は往々にして光を透過せず、ソーラー駆動には不向きなのが一般的だ。そこで「OCW-S7000BV-2AJR」では、発電方式を変更した。
佐藤氏「これもOCEANUSの歴史で培われたインダイアルソーラー(※2)です。黒い三つ目の部分にだけソーラーセルを使用、しかもカシオの特許である遮光分散型ソーラーセルを採用することで、発電効率を向上させました」
まさに「新しいオシアナスブルーというElegance」を表現するための「Technology」。OCEANUSが20年間ブレることなく追求してきた哲学の伝わりやすい具体例だ。
佐藤氏「それは、サファイアガラス製のベゼルにも同じことがいえます。ベゼルにセットされたサファイアガラスは、20周年を意味する20面カットを天面に施しました。
20面は初のチャレンジです。カット面が多く、面の組み合わせの角度が緩やかなので、研磨がすごく難しいんですよ。でも、そのぶん光を乱反射させるので、美しくキラキラと輝きます」
そのサファイアガラスベゼル裏面にも、最新のオシアナスブルー、青から黒へのグラデーション蒸着が施された。なお、この蒸着は青から黒へのグラデーションにも関わらず、光の加減により、部分的に赤みを帯びた紫色が現れる。
これは「黒い部分の色の偏光によるもの」とのこと。
佐藤氏「外装加工や着色の技術ノウハウもずいぶん蓄積されていて。このグラデーション蒸着も発色をすべて計算して行っています。OCEANUSは、今までも限定モデルには青以外の要素を使うことが多かったんです。そこで今回は、角度により色が偏向するギミックを盛り込みました」
「一瞬輝く紫」の特別感。それはまるで「時間が一瞬の特別な輝きを与えてくれる」ことの象徴のようだ。と、(年齢が)私を感傷的にさせる。
佐藤氏「20年を迎えたOCEANUSの今後についてもぜひご期待ください」
青い海は水平線の向こうへと続いている。航海は果てしない。
※1 「OCEANUS」の名前は、ギリシャ神話に登場する海の神「オケアノス」に由来。これは英語で「大洋」を意味する「Ocean」の語源でもある。ブランドロゴは波がモチーフで、やわらかい曲線と鋭いラインで優雅さ(エレガンス)と先進性(テクノロジー)を表現している。
※2 メインの文字板にソーラーパネルを使わず、クロノグラフの3つの小文字板部分にソーラーセルを配置することでソーラー駆動を可能にする発電方式。
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