ベンチマークで3.0と3.1のパフォーマンスを比較する

冒頭のバージョン別比較解説でも少し触れたが、Android 3.1では前バージョンの3.0に比べてOSレベルでのハードウェアの最適化やブラッシュアップが行われており、一定以上のパフォーマンス強化が望めるという話がある。細かいチューニングの差はあれど、既存のSnapdragon 1GHzを搭載したスマートフォンでは難しい、動画サイトでのFlashによるコメント付き動画再生やHDクラスの動画ファイル再生など、XOOMでは3.0の状態で特に何もしなくても満足のいくレベルのパフォーマンスを得ることができる(動画サイトの場合はFlash Playerのインストールが必要だが)。

おそらく単純に体感ではわからないレベルなので、ここでは複数のベンチを使ってXOOM標準の3.0での状態、そして3.1導入後の2パターンをそれぞれ検証してみた。使用したベンチマークは「Quadrant Professional」「AnTuTu Benchmark v2.0.3」「0xBenchmark」の3種類。それぞれについて複数回テストし、スクリーンショットでは比較的平均値に近いものをチョイスしてみたので参照してみてほしい。なお、Quadrantはベンチマーク結果のばらつきが非常に大きいため、アップデート導入前後の双方ともに比較的ベンチ結果のよかったグループのものをチョイスしている。

結果からいってしまえば、3.0と3.1でパフォーマンス上の差異はほとんどなく、おそらく誤差レベルと呼べるものだと考えられる。AnTuTu Benchmarkと0xBenchmarkは、3.0と3.1を比較して数%ほどの性能向上が見られるが、一方でQuadrantは3.0から3.1になった段階で逆にベンチマークのスコアが1割以上落ちており、なぜこのような差が出たのか興味があるところだ。逆にいえばアップデートによるマイナス要素がないため、ユーザーは可能な限り早めに3.1へのアップデートを済ませておくのがいいかもしれない。

Snapdragon 1GHzのシングルコアマシンではきつい、ニコニコ動画のコメント付き全画面再生もXOOMなら余裕だ

左から順に「Quadrant Professional」「AnTuTu Benchmark v2.0.3」「0xBenchmark」の実行画面

Quadrant ProfessionalでAndroid 3.0と3.1のベンチ結果を比較したところ

AnTuTu Benchmark v2.0.3でAndroid 3.0と3.1のベンチ結果を比較したところ。なお、ここでのスコアはAnTuTuがリファレンスとして用意しているMotorola XOOMの結果とほぼ同じ

0xBenchmarkでAndroid 3.0と3.1のベンチマーク結果を比較したところ。ベンチマーク結果は2ページ分出力される

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長期出張の移動を何度か挟んでしまったため、実質的に触れられた期間は2週間弱程度となるが、サイズ的には10インチでこなれており、バッテリの持ちも悪くなく、レスポンスもMobile World Congressなどの会場で触ったテスト機に比べればかなり向上している様子がうかがえ、タブレットとしての利用には満足いくレベルの製品に仕上がっていると感じている。一方でOS自体の完成度の低さが目立つ部分もあり、例えば前述のキーボード接続が安定しない、3.1以降でサポートされた周辺機器接続機能がうまく動作しない、使用期間が短い割にOSのフリーズや強制リセットに出くわす機会が多かったなど、今後のアップデートや改良が望まれる。ただしこれらの多くはソフトウェアによる部分が大きいと思われ、ユーザーにとってはAndroid 3.2へのアップデートに期待がかかるところだ。