登壇する日本Androidの会 会長 丸山不二夫氏 |
7月29日、毎日コミュニケーションズが主催するスマートフォンイベント「マイコミ スマートフォンアワード 2011」が開催された。
同イベントは、スマートフォンやタブレットを楽しくするアプリやアクセサリーを表彰するというもので、表彰式のほかにスマートフォン関係者や開発者らによる講演・セミナー、アプリやサービスの展示が行われた。本稿では、日本Androidの会 会長で早稲田大学客員教授の丸山不二夫氏による基調講演の模様を紹介する。
基調講演で登壇した丸山氏はまず、Androidスマートフォンを始めとするスマートフォンの爆発的な広がりについて触れ、2011年5月に全世界のスマートフォン出荷台数におけるOS別シェアで1位となったAndroidは、2012年にはスマートフォン出荷台数の50%に迫るというガートナー社の予測を紹介した。
また、日本ではすでに2010年度のスマートフォン出荷台数でAndroidが1位になっており、契約台数ではまだiPhone・iPadなどのiOSに及んでいないものの、この夏には契約台数ベースでもAndroidがiOSを抜くはずだと述べた。
続いて、スマートフォンの普及における、日本の変化の規模とスピードは特筆すべきところがあるとし、具体的には、日本は世界よりも2年早く進んでいると述べた。また、その変化を支えるもののひとつとして、日本には韓国などと並んで世界一のネットワークインフラが整っていることを挙げた。
次に丸山氏は、スマートフォンの普及が原因となったアメリカでのデータ通信の定額制廃止について言及した。ベライゾンとともに定額制を廃止したAT&Tは、iPhoneを販売してからデータ通信のトラフィックが50倍に膨れ上がったことを紹介。日本ではまだしばらく定額制が続くだろうとしながらも、いずれは従量制になるが、たとえ従量制になっても、料金が高くなるのは一部のヘビーユーザーだけで、98%のユーザーは今の定額内で収まるはずという予測を述べた。
丸山氏は、スマートフォンなどのクラウドデバイスとクラウド技術による、新しいネットワークメディアが躍進していると指摘。一方で、旧来のマスメディアは低落してくと述べ、新しいネットワークメディアの代表例となるのが、Appleを筆頭としたマルチメディアから進化した「ユニメディア」、Facebookを筆頭としたマスメディアから進化した「パーソナルメディア」であるとした。
そして、時代の速度についていけなければ、企業は退場することになり、次々と新しい企業が登場してくるだろうと指摘。例として、Googleのページランクによる検索・広告モデルですら、もう古いと述べた。
丸山氏は、そのような時代の中にあって、日本は最強のクラウドデバイスであるスマートフォンが最も普及している国のひとつだと述べた。さらに、おサイフケータイなどの電子マネーは特殊な進化を遂げており、高速なネットワークインフラも整っているとし、日本には有利な環境があるとした。そして、そのチャンスを活かして、次世代の新しい企業やビジネスモデルを生み出すべく、若い世代にはチャレンジしてほしいと述べ、講演を終えた。