初めに、この度の震災で被災された皆様には心からお見舞いを申し上げます。
今も被災地では救済のための活動が続き、多くの方が避難されている厳しい中にあって、 本日81名の新入社員を迎えました。皆さんとともに復興に向けてがんばりたいと思います。
私自身福島県出身で、今も母が住み、被災し厳しい環境の中で生活をしていることもあり、 この度の震災はとても他人事とは思えず、まさに自分ごととして痛みを感じています。 HPでは地震発生直後からお客様の状況を確認し、お客様のビジネスを復旧させるため 全社員が協力して取り組んでいます。 そうした状況の中で、入社式を行うかどうか、悩みました。中止や延期という決断もあり ましたが、考えた末私はぜひやりたいという思いに至り、今日を迎えることになりました。 日本が復興に向かうため、そして日本の明るい未来を切り開くために、その原動力とな るのが皆さんです。今日の入社式を、われわれにとって復興を目指し、皆さんとともに 日本の明るい未来のために力を尽くしていくための、新たな一歩を踏み出す一日としたい と思います。
入社にあたり、皆さんにこうあってほしいと思うことを3つお話します。
(1) カスタマーファースト:常にお客様第一で
震災当日から私が全社員に言い続けていることでもありますが、「お客様第一に、お客様のために行動する」ことです。これはどういうことかというと、今日から皆さんは給料をもらう社会人となりますが、皆さんの給料は誰が払っているのでしょうか? 上司や会社ではなく、お客様が払っているのです。お客様が我々の仕事を評価し、満足していただいた対価としてお金をいただいているのです。ですからお客様のビジネスに貢献すること、そしてお客様の満足を向上することを常に追いかけてください。その結果として私たちのビジネスが大きくなり、成長していくことにつながります。
震災後、HPのエンジニアは交通機関も十分に回復しない中で、パーツを抱えてお客様のところに行って修理をしたり、お客様の工場の復旧のお手伝いをしています。皆さんにもお客様のために行動すること、「カスタマーファースト」を心がけ、実践してほしいと思います。
(2)プロフェッショナルを意識する
これから、会社は皆さんが「やるべきこと」を定義し、やっていただくことになります。一方皆さんにもHPで「やりたいこと」がでてくると思います。両者が一致すれば一番いいのですが、実際はそうはいかないことが多いものです。プロフェッショナルは、そんなときにどうするか? やりたいことをするために提案する、何かを変えていこうと強い意志を持ち、考え、行動していきます。 「やるべきこと」「やりたいこと」に加え、もう一つの要素として皆さんが「できること」があります。 この3つが完璧に重なると会社も皆さんも非常にハッピーですが、やはり実際はそうはいきません。「できること」を大きくするには、自分ができないことは周りの人に力を借りる、協力を得ることです。コラボレーション、チームワークが大切です。 ポジティブに、建設的な提案をし、チームワークとコラボレーションで、プロフェッショナルとして最大限力を発揮できるようになってほしいと思います。
(3)グローバルを意識する
皆さんは、日本HPという5400人の会社に入社したのではありません。170カ国で30万人の社員が働くグローバル企業の一員となったのです。 グローバルというのは、どういうことでしょうか。例えば先の震災のニュースは日本で発生後すぐ に世界中にニュースとして配信されました。今、世界はフラットにすべてコネクト(接続)され、ある国で起きた出来事は数分以内に、世界中に伝わります。 今日からHP社員となった皆さんがもし明日革新的なものを作ったとしたら、その情報は数分のうちに世界中に伝わるのです。そういう世界の中で、170カ国 30万人の仲間とともに、日本という枠に収まらず、活躍してほしいと思います。
新入社員数:81名(男性63名、女性18名)