第三者委員会での調査結果公表 フジテレビは今後変われるか?

ガバナンス体制の強化に動き出す

 3月27日、フジテレビジョン(以下フジテレビ)がタレントと女性社員のトラブルから発生した一連の問題を受け、フジテレビ及び、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)両社の取締役相談役(フジサンケイグループ代表)の日枝久氏が辞任し、取締役も半数以上が入れ替わる新たな経営体制を発表した。

 親会社FMHの新社長には、専務取締役・フジテレビ社長の清水賢治氏が就任、現HD社長の金光修氏は代表権のない会長に就き、経営を監督する。

 取締役会は、FMHは17人から11人に、フジテレビでは22人から10人に減らし、半数が社外取締役。外部の視点を入れ意思決定の迅速化も図る。

 3月31日には、弁護士からなる第三者委員会は調査報告書を提出し、会見が開かれた。そこでは発端となったタレント中居氏の同社社員Aへの性暴力による重大な人権侵害があったこと、また、その背景には同社内部において、コンプライアンス意識の低さから発展したガバナンスの脆弱性が指摘された。

 今回の事案は「業務の延長線上」で起きた事案で、同社のガバナンス体制が全く機能をしていなかったことに問題がある。産業医や内部通報口の機能不全と経営層を含めた全社的な意識の欠如、救済の仕組み化が不十分であったことから生じた。

 いずれも適切な経営判断ができる体制を敷いてこなかった取締役会の経営トップ、幹部の責任が問われた。第三者委員会は、今回の件はフジテレビだけの問題ではなく、業界全体に蔓延する構造的な課題だとも指摘。

 FMHは、今回の事案の再発防止解決策として、社員一人一人の「コンプライアンス研修等の義務化」や処罰の明確化、および「懲戒処分案の見える化」「適切な経費処理ルールの明文化」などを通じ、コンプライアンス、ガバナンス体制の強化を急ぐ。

 今回の事案から何を学ぶか。芸能業界で生じた今回の事案は、取引先との権力構造の強弱があればどの企業でも生じ得るため、他業界、全ての日本企業で見直されるべき事項。内部改革を進め、社会からの信頼回復をいち早く取り戻していくことが清水氏に課された喫緊の課題となる。