iOS 4.2.1では、ブラウザが「Safari 5」にアップデートされた。ブラウザが出力するユーザエージェントを調べたところ、Safariのバージョンはv5.0.2、WebKitのビルド番号は533.17.9で、Mac OS X向けの最新版(Safari v5.0.3/WebKit 533.19.4)と比較しても古さはなく、ほぼ最新のSafariが収録されたといえる。

iPhone 4/iOS 4.2.1のSafariが出力したユーザエージェント

iPad/iOS 4.2.1のSafariが出力したユーザエージェント

変更点だが、Mac OS X版Safariに比べると小幅な更新となっている。Safari 5の目玉「機能拡張」はサポートされず、Safari機能拡張ギャラリーにアクセスしても対応ブラウザとは認められない。広告などを排除した要約ページを表示する「リーダー」も省略され、Mac OS X版ではURL欄に「リーダー」ボタンが現れるページにアクセスしても、なにも表示されない。

Mac/Windows版Safari 5の「機能拡張」はサポートされていないため、ブラウザの更新が必要と警告される

Mac/Windows版SafariではURL欄に「リーダー」ボタンが表示されるページも無反応

ただしHTML5のサポートは同等らしく、Appleの「HTML5 Showcase」ページに置かれたサンプルにアクセスすると、Mac OS X版Safariと遜色ない表示結果を得られた。従来どおりAdobe Flashはサポートされないものの、Flash代替としてのHTML5環境はひとまず整った、と言うことができるだろう。

アップルのHTML5 Showcaseページにあるサンプル「VR」

アップルのHTML5 Showcaseページにあるサンプル「Gallery」

パフォーマンスも向上している。JavaScriptベンチマーク「Sun Spider 0.9.1」を試したところ、特にiPad版において顕著な効果を確認できた。iOS 4.2.1のiPadでは、ベンチマーク全体を完了するまでの時間は約21%短縮され、特に「3d」と「math」項目は3~4割ほどスピードアップされている。

一方のiPhone 4では、Safari 4.0.5/WebKit 532.9からのメジャーバージョンアップではあるものの、小幅な改善にとどまった。iOSアップデート前のそれぞれのデバイスにおけるSafariのバージョン(iPadはv4.0.4、iPhone 4はv4.0.5)に大きな差がなく、システムレベルでの演算性能を測るベンチマークソフト「GeekBench 2」の結果が、iPadとiPhone 4ともiOSアップデート前後でほとんど差がなかったことからすると、WebKit 531系から532系へのアップデートにおけるJavaScriptエンジン改良が作用していると考えられる。

■表 Sun Spider 0.9.1の実行結果
iPad iPhone 4
iOS 4.2.1 iOS 3.2.2 iOS 4.2.1 iOS 4.1
3d 1097.5 1763.5 1390.1 1416.3
access 1167.9 1458.7 1458.1 1444.4
bitops 753.6 888.9 939.3 949.4
controlflow 128.4 137.2 166.8 173.7
crypto 535.1 757 676.5 651.5
date 570.7 716.8 722.8 808.3
math 917.5 1343.3 1155.7 1118.4
regexp 1109.7 975.5 1391 1466.7
string 1821.7 2234.1 2318.7 2445.3
TOTAL 8102.1 10275 10219 10474

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