Q.4 "First-class citizen(第1級市民)"という言葉を多用しているが、どういった意味?
「FirefoxにとってすべてのユーザはFirst-class citizenであって、Second-classはあってはならない」とAsa Dotzler氏。「ChromeではMac OS XやLinuxはSecnd-class citizenだ」「Microsoftでは対応言語を3レベルに分けており、その順番でリリースしている。日本語はFirst-classだ。Tier 1やTier 2、Tier 3という言葉を使っているが同じことだ。これは費用対効果をベースに決定されている。最も企業に利益を与えるユーザにサービスを提供するのは、ビジネスの観点からするとごく当然のことだ。これは法的な必須項目といえる。しかし、これは、コンシューマを階層に切り分けることを意味している。利益を出せるユーザには優れたサービスを提供する、次にちょっと利益を与えてくれるユーザ、そしてそれ以外のユーザという階級に分ける」「日本語はFirst-class扱いだが、自分の言語がTier 2やTier 3に分類されていれば、それは腹立たしいことだ」
|
|
Webはすべての人にとって重要な資産だからこそ、誰もが公平にアプローチできるべき、とAsa Dotzler氏。「1つのプラットフォームを優先するようなリリースは今後もしないのかって? "Absolutely NO!(絶対にない)"」 |
さらにAsa Dotzler氏はこう続ける 「しかしFirefoxではすべてが第1級市民であるととらえ、どの言語も機能もすべて同時にリリースするというポリシーを持っている。3つのプラットフォームで同時に機能を実現できるまで待つというアプローチをとっている。これはいいポリシーだし、いいチャレンジだと考えている」「Firefox 3.0は62言語、3.5では73言語を越える。これは我々が言語を選んでいるのではなく、翻訳ボランティアベースで追加されている。Chromeはユーザ数ベースで対応言語をきめている。これはFirefoxの存在意義の話だ。利潤の追求ではなくユーザに優れたWebを提供するという目的があり、そこからのアプローチであるといえる。どんなに規模の小さい言語であったとしても、プロジェクトに参加して作業することで自分の言語を追加できる。これはプロジェクトのスタート時からのポリシーであり、どのプラットフォームでも、どの言語でも対応できるように工夫されている」
そしてAsa Dotzler氏はMozillaに務める同僚たちをこう評価する 「ただの仕事としてMozillaで仕事をしているひとはいない。Mozillaで働いている人は、ほかの会社にいってもっと給料を得ることはできる。Mozillaで働いているのは情熱があるからだ。営利企業は実利主義であり、大多数が得をするようにしているが、それだけの世界には私は住みたくない。それだけの世界というのは、間違ったやり方だと私は考えている」
Q.5 Firefoxの現在のターゲットはどこにあるか?
「我々はバランスをとる必要がある」とAsa Dotzler氏。Mozillaの主目的がWebを進化させることにあるため、まずは開発者が必要になる。いくら開発者がいても、それを利用するエンドユーザがいなければ意味がない。つまりFirefoxのターゲットは開発者とエンドユーザの両方ということになる。
どのリリースでも開発者向けの機能とエンドユーザ向けの機能の両方をバランスよく取り込むように工夫しているという。その点でいえばFirefox 3.0は双方にバランスのいいリリースだったという。Firefox 2.0はどちらかといえばエンドユーザ向けの機能が多く、これからリリースされるFirefox 3.5は開発者向けの機能が多いリリースとなる。
また、ほかのブラウザが導入し、まだFirefoxで導入されていない機能は積極的に取り込むことを検討するという。それは特定のブラウザだけが機能をサポートしていても意味がなく、複数のブラウザが同時に機能をサポートしてこそ意味があるからだという。
インタビューを終えて - 情熱の人、Asa Dotzler
MozillaのストーリーテラーことAsa Dotzler氏。1998年から活動に関わるようになり、2000年からはMozillaに就職して業務として精力的に作業をこなしている。Asa Dotzler氏のもともとも専門は建築アーキテクトだそうだ。Firefoxの活動ではおもにコミュニティを成長させることや、開発者との架け橋を担うことに精力を注いでいる。
Asa Dotzler氏はMozillaと関わるようになった当時を振り返り、最初はプログラマによく文句を言われたもんだったと敷居の高さを述べ、それでもいかにコミュニティが重要であるかを説いて回って、いまではブラウザの開発以上にコミュニティの育成に力が注がれていることを説明している。Mozillaはこれまでの資産をすべて合わせてもMicrosoftのブラウザキャンペーンの予算にすら到達しない。しかしFirefoxは世界第2のシェアを誇り、今でも順調にシェアを広げている。Mozillaの姿勢と、それを支える大多数のコミュニティが、これを実現しているという。

