――赤字が続いているということですが、iPhoneアプリ「産経新聞」のビジネスモデルはどう考えているのでしょうか。

近藤氏 「NetView」ではお金をいただいているわけなので、iPhone版について私たちは「当面無料」という言い方をさせていただいています。では「その次は有料になるのか」というとそれほど単純な話ではなく、「どうやったらこういうサービス(iPhone版)を継続して使ってもらえるようにできるか」を考えているところです。

ただ、「NetView」も赤字でiPhone版も収入ゼロなので、このまま行くと赤字まみれになって「NetView」自体もやれなくなる。あるていど事業がやっていける感じにまでできないかとモデルを探しています。これは有料なのですが、2009年の春くらいには5つほどの展開を考えています。

――課金も含めて?

近藤氏 課金もそれ以外の場合も、あらゆることを検討しています。月額課金が理想かどうかもわかりません。私たちはそれが必ずしも理想とは思っていない。ただ、(リリースしてから)これだけのニーズがあったことには驚きました。

――産経新聞社はネット事業に力を入れていますよね。

近藤氏 1995年から、「産経Web」や「ZAKZAK」などのサイトを運営してきました。産経新聞グループは、「ネットでの挑戦を制限しても、紙を守ることにはつながらない」という一定の結論に至りました。結論から言うと、「ネットに情報を出すと紙の部数が減る」という単純な図式は成り立たないと思います。

一方で、「NetView」では大きな夢を抱いて動画を付けたり、付加情報を提供したりしてきましたが、使われないという現実もありました。

――ネット事業ではマネタイズに苦労する中で、iPhone版には期待がかかるのではないでしょうか?

近藤氏 私たちの場合、そこ(マネタイズ)だけに限って事業を行なっているわけではありません。よりいいものをユーザーに届けたいという思いがあります。とはいえ、事業を続けていくうえでは、なんとか収支が合わないと続けていけません。でも、たとえば、SNSもある規模になると広告(収入)もガタンと落ちて、「続けていけないから、すいませんが課金を……」ってあるじゃないですか。私たちはそれでもやっていけるようなモデルを作りたいし、知恵があれば一緒に考えてほしい。新聞社としては、世の中に必要とされる存在でありたい。そのための機能を提供していきたい。課金だけが(サービス継続の)道ではないと考えています。