2009年度で3万台出荷を目指す静脈認証
一方、重点課題のひとつとしている新規ビジネスに関しては、より時間を割いて説明した。
手のひら静脈認証では、国内のみならず海外での認知度が上昇している点をあげ、「北米とブラジルを中心とした米州、欧州、中国/アジアの3拠点を軸に展開。2008年度には1万台以上、2009年度には3万台の出荷を見込む」とした。三菱東京UFJ銀行、ブラジルのBradesco銀行をはじめとする金融分野に加え、医療分野や、企業や研究室の入退出管理システムとしての導入など、市場の広がりが需要拡大を後押しすることになりそうだ。
「当社の手のひら静脈認証は、指静脈認証に比べて300倍もの情報量となり、しかも、手をかざすだけで利用できるため、非接触型というメリットもある。衛生面を重視する現場や、公共的な場所での導入にも適している。FAR(他人受け入れ率)では、0.000008(1,000万分の8)の精度、FRR(本人拒否率)では0.01%(1万分の1)の高い精度となっているほか、0.8秒での高速読みとりも特徴となっている」という。
現在は、ICカードの利用や識別番号を入力し、IDを特定した上で生体認証によって確認するという方法だが、今後は、生体認証のみで認識する1対N型の認証技術を開発し、2008年度末にリリースする予定。「利便性が高まり、手ぶら社会を実現するキー技術の1つ」と位置づけた。
2010年頃の本格立ち上がりを見込むRFID
RFIDについては、実証実験段階での導入が多いが、2009年から2010年にかけて本格的な立ち上がりを見込んでおり、それに向けて技術革新、生産体制の確立を急ぐ。
同社では、洗濯しても利用できるリネンタグを製品化しており、すでに日本通運や帝国ホテル向けに、ユニフォーム管理用として導入。また、発電所での入退出管理にリネンタグを利用するといった実績を持つ。
「世界同時不況の影響で新規投資を抑制する傾向があるものの、大量のタグ導入を前提とした商談は確実に増えている。国内大手リネン会社へのリネンタグの拡販、海外におけるボリューム商談の獲得、大量のタグを必要とする業界への専用タグの提供といった観点から商談を進める。当社のRFIDは、通信距離が長く、一括読み書きができるUHF帯を中心に製品化。リネンタグに加えて、金属に張り付け可能な金属対応タグなどの高付加価値タグが強みとなっている」とした。
本格導入目前のカラー電子ペーパー
カラー電子ペーパーでは、本格導入期が目前に控えていること、環境問題への関心も高まっていることから、事業拡大に意欲を見せる。北米での電子書籍端末需要が拡大していること、携帯電話でもカラー電子ペーパーの採用を検討する段階に入っていることを指摘。2008年度下期から本格量産を開始する。
「従来技術に比べて明るさで40%、コントラストで50%向上させ、書き換え速度も1.5秒と2倍に向上している。フィルムへの電極形成からパネル化までロール・ツー・ロール製造技術を適用し、2008年度下期から本格量産を開始する予定」とした。