Kiss X2をベースに、さらに青みを抑えた絵づくり

EOS 50Dの絵づくりは、Kiss X2を発展させたもののようだ。非常にしっかりした描写で、ハデすぎず、それでいて色もちゃんと乗せてくる。とても好ましく感じた。若干だが、Kiss X2よりも青みが抑えられているようだ。Kiss X2ではシーンによって赤色にも青みが乗ることがあったが、EOS 50Dでは赤は赤として再現される。というよりも、場合によっては赤みが強く感じるかもしれない。たとえば青空の青にマゼンタが乗るような感じだ。これはこれでコクがあっておもしろいのだが、気になるようならホワイトバランスなり、ピクチャースタイルで調整するのがいいだろう。

ピクチャースタイルは、例によってモードでずいぶん色が変わるタイプ。それでも各モードともに破綻はなく、どれもしっかりしている。「風景」「ポートレート」は名称が示すとおり被写体に合わせた専用モードと考え(彩度の高い被写体では赤や黄色が張りつきやすくなる)、通常は「スタンダード」と「ニュートラル」を使い分けるのがいいだろう。メリハリを求めるなら「スタンダード」、しっとりさせるなら「ニュートラル」といったところだろうか。「忠実設定」は正しい色だが、写真として見ると力強さの点で寂しく感じる。「モノクロ」はお好みでどうぞ。

通常メニューのピクチャースタイル

「INFO.」ボタンで詳細設定に移行できる

モノクロは詳細設定の項目が異なる

左から、「スタンダード」、「ポートレート」、「風景」の各モードで撮影。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/28mm(45mm相当)/マニュアル(F6.3、1/125秒)/ISO 100/WB:オート]

人工物の色合いを比較した。左から、「スタンダード」、「ポートレート」、「風景」の各モード。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/28mm(45mm相当)/プログラムAE(F6.3、1/125秒)/ISO 100/WB:オート]

同上。左から、「ニュートラル」、「忠実設定」、「モノクロ」の各モード

青空の色を比較した。左から、「スタンダード」、「ポートレート」、「風景」の各モード。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/28mm(45mm相当)/プログラムAE(F6.3、1/250秒)/ISO 100/WB:オート]

同上。左から、「ニュートラル」、「忠実設定」、「モノクロ」の各モード

より効果的になった「オートライティングオプティマイザ」

暗部を明るくするなど、明るさとコントラストを調整する「オートライティングオプティマイザ(ALO)」。これは以前から搭載している機能だが、EOS 50Dではずいぶん強化された。メニューも従来は「使う/使わない」の二者択一だったが、EOS 50Dでは「標準/弱め/強め/しない」の4段階に改められた。

効果も変わった。例えば逆光時の場合、従来は人物の顔を検出しないと明るく補正しなかったが、EOS 50Dでは人物がいなくてもちゃんと機能する。暗部の見えなかったものが見えてきて、ちょっと嬉しくなる。もうひとつの露出として使ってもいいだろう。4段階ある設定はその名のとおりだが、「強め」にすると全体にハレたような白っぽい画像になることもあった。「強め」は創作のレベルと考え、通常は「標準」か「弱め」で十分だろう。なお、ALOはマニュアル露出では機能しない。

もうひとつ、ダイナミックレンジを変更する「高輝度側・階調優先」機能がある。これを使用するとハイライト側の階調表現が向上するというもの。ただし使用できるISO感度はISO 200~3200に限定される。試したところ確かに効果はあるのだが、その差は少ない。プロカメラマンがスタジオ撮影でハイライト部分を気にするような、微妙な撮影でこそ威力を発揮するはずだ。

オートライティングオプティマイザ(ALO)は従来より強く効くようになった。中央は、右と下の画像のヒストグラムを比較したもの。暗い側が補正されているのがわかる。右は「標準」で撮影したもの。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/18mm(29mm相当)/プログラムAE(F7.1、1/125秒)/ISO 100/WB:オート/PS:スタンダード]

同上。ALOは左から、「弱め」、「強め」、「しない」で撮影

「高輝度側・階調優先」の効果をみたもの。この画像ではわかりづらいが、ヒストグラムの明るい側が微妙に違っている。中央が「しない」、右が「する」の画像。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/35mm(56mm相当)/マニュアル(F13、1/500秒)/ISO 200/WB:オート/PS:スタンダード]

ホワイトバランスはオートでの微調整も可能。右は、同じ場所でホワイトバランスを変更して撮影したもの。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/S+Fine(JPEG)/28mm(45mm相当)/プログラムAE(F5、1/60秒)/ISO 100/WB:オート/PS:スタンダード]

明るさを変えてマクベスのチャートを撮影し、各色の明度を拾い出したのが右のグラフ。白飛び、黒つぶれとも少ない。右は比較用のKiss X2。総じてEOS 50Dのほうが赤みが強いようだ。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/40mm(64mm相当)/マニュアル(F4.5)/ISO 100/WB:マニュアル/PS:スタンダード]

彩度の高い被写体をピクチャースタイルの各モードで撮影した。中央は、赤い部分のヒストグラムを比較したもの。「風景」では赤が、「ポートレート」では黄色の階調が失われた。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/40mm(64mm相当)/マニュアル(F8、1/60秒)/ISO 100/WB:マニュアル]