すばらしくいい解像力

EOS 50Dの解像力は、さすがにすごい。いつものチャートでテスト撮影したところ、限界の2,000TV本を越えてしまった。シャープネスも特別強いというわけではない。いままでは一部プロ機のみこれを超えたが、このクラスでは初めてだ。

先のレンズレポートでも挙げたが、使用したEF-S 18-200mmは絞りによる影響が比較的少ないレンズ。解像力も開放(F5.6)とF11で試したが、F5.6のほうが少し像がゆるくなり、周辺でも多少は像の流れが発生するが、それほど極端な差はなかった。

最高出力解像度は4752×3168ドットとかなり大きい。中央は絞りF5.6、右はF11で撮影した解像力チャート。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/00mm(320mm相当)/絞り優先AE/ISO 100/WB:オート/PS:スタンダード]

見やすいファインダー、高速なフォーカス

ファインダーはとても広い。視野角を実測したところ約23.6度だった(対角)。これはEOS-1D系などのフルサイズ機よりもひとまわり狭いが、APS-Cクラスではもっとも広いレベルだ。

通常撮影時のオートフォーカスはさすがに速い。いつものテストでも平均1.0秒、斜線のターゲットを別にすると0.9秒と非常に速かった(EV5の明るさ)。実際の撮影でも、サクサク撮影できて気持ちがいい。

コンティニュアスAFでの追従性も高かった。「EOS Kiss X2」などでは、被写体が手前に近づいてくるときの追従性はいいが、離れ始めるときに追いきれないことが多かった。EOS 50Dではそれが改良されたようで、離れる場合もかなりの確率で追い続ける。もうひとつ、AFポイントをカメラまかせの自動選択にした場合も、背景にピントを取られることがずいぶん減った。このクラスのカメラを使う人ならAFポイントの選択に抜かりはないだろうが、子供の撮影など、動きが読めない場合はAFポイント自動選択も味方になってくれるはずだ。

ただ、EF-S 18-200mmの手ブレ補正の影響か、まれに妙なぶれが発生するのが気になった。右下のブランコの写真がそれだが、カメラが被写体を追いかけて上下に動かしているのに、画像では横にぶれが発生している。前後のカットではごく普通に撮影できているが、まれにこういったカットがあった。三脚を使っての撮影でもごくまれにぶれることがあったので、EF-S 18-200mmを使う際は、まめに手ブレ補正をオン/オフしたほうがよさそうだ。もっとも、単に私がヘタクソであるという可能性も捨て切れない。だったら申し訳ないと思う。

ファインダーはこのクラスとしてはとても広く、快適。視野角を測定したところ、対角で約23.6度だった

写真のようなターゲットを用意し、レリーズから撮影までの時間を測定した。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/200mm(320mm相当)/マニュアル(F5.6、1/60秒)/ISO 100/WB:オート/PS:スタンダード]

キヤノンらしく、合焦は非常に快適。斜線+EV1の明るさではシャッターが下りなかったが、これは他のカメラでも同様のことが多い。なお、測定はレリーズからの時間のため、タイムラグなども含めている

光学ファインダー使用時のAFモードは3種類。「ワンショット」がいわゆるシングルで、「AIサーボ」がコンティニュアス。「AIフォーカス」は両者を自動で切り換える

AFポイントの選択。このブランコ撮影では中央固定と、カメラまかせの自動の両方で試している。AFモードはコンティニュアス

ブランコが手前まで来ても、フォーカスは正しく追い続けることが多かった。この状態で、ブランコとの距離はだいたい1mほど

左は、AFポイントをAF中央固定で撮影した画像のGIFアニメ、中央はAFポイント自動で撮影。右は横ぶれの発生した画像。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/S+Fine(JPEG)/35~50mm(56~80mm相当)/絞り優先AE(F5.6)/ISO 400/WB:オート/PS:スタンダード]

ISO 1600までならノイズを気にせず撮影できる

高感度撮影時のノイズはどうだろうか。「高感度撮影時のノイズ低減」は標準の状態で、ISO 1600まではほとんどノイズは見られず、ISO 3200で若干のざらつきと色ノイズが発生。H1(ISO 6400相当)では目に見えて粒状ノイズが増え、H2(ISO 12800相当)では明らかなノイズの粒が画面いっぱいに拡がる。「ISO感度拡張」はダテではなく、それなりに覚悟して使うほうがいいだろう。Kiss X2やEOS 40Dと比べると、ノイズ量はほぼ同じくらいに抑えられている。画素数が増えてノイズは増えていないのだから、これが技術の進歩なのだろう。

「高感度撮影時のノイズ低減」は、強くするとノイズは目立たなくなるが、そのぶん像が緩くなる。よりシャープな像が得たいなら、ノイズ低減を弱くするのもいい。ノイズ量は、ノイズ低減の1段がISO感度の1段に相当すると考えればいいだろう。つまりノイズ低減「標準」+ISO 3200までをOKとするなら、ノイズ低減「弱め」ならISO 1600まで、ノイズ低減「なし」ならISO 800までOKということだ。もちろん状況などで変化するはずなので、目安として見てほしい。

このノイズチェックで気になったのは、感度を変えると画像の明るさや色合いが微妙に変化することだった。同一のグレーバックなのに、だいたいISO 400以下では赤みが強く、それ以上では青みが強くなる。またISO 1600以上では像が暗くなる傾向があった(プログラムAE)。気になるなら、マニュアルでホワイトバランスや露出を設定したほうがいいだろう。

「高感度撮影時のノイズ低減」機能は、初期状態では「標準」になっている

ISO 3200以上を使用するには、「ISO感度拡張」を「する」にしなければならない

感度変更によって明るさや色が変化した例。ノイズ低減機能は「しない」で撮影

ISO感度を変更して撮影し、ノイズの発生を調べた。特に記した以外はノイズ低減を「標準」で撮影している。中央がISO 100、右がISO 200。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/50mm(80mm相当)/プログラムAE/WB:オート/PS:スタンダード]

ISO 400

ISO 800

ISO 1600

ISO 3200

ISO 6400 (H1)

ISO 12800 (H2)

ノイズ低減:しない ISO 3200

ノイズ低減:しない ISO 6400

ノイズ低減:しない ISO 12800

ノイズ低減:弱め ISO 3200

ノイズ低減:弱め ISO 6400

ノイズ低減:弱め ISO 12800

ノイズ低減:強め ISO 3200

ノイズ低減:強め ISO 6400

ノイズ低減:強め ISO 12800

周辺の明るさを落とさない「周辺光量補正」

解像度が上がったことによる画質への影響だが、今回はなんとも判断できなかった。周辺部など、色収差や像の流れが見られたが、これが試用したEF-S 18-200mmに原因があるのか、EOS 50D(β機)固有のものなのか、なんとも判断できないためだ。

また、EOS 50Dにはレンズの周辺落ちを補正する「周辺光量補正」の機能がある。周辺を明るく補正してくれるわけだ。試用したレンズはEF-S 18-200mmで、もともと光量落ちは少ないのだが、それでも広角端の開放近く(F3.5~5.6)ではわずかに発生する。これが同機能を使用すると、ほとんど気にならない。画質の劣化も見られなかったので、光量落ちを気にするなら常用してもいいだろう。

「周辺光量補正」は約20本分のデータを持っている。ユーティリティソフトを使って増やすことも可能。EF-S 18-200mmの広角側で、この機能を試してみた。右は条件を変えて撮影した画像の左上を並べたもの。[EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS/L+Fine(JPEG)/18mm(29mm相当)/絞り優先AE/ISO 100/WB:オート/PS:スタンダード]