キヤノンは8月26日、都内でデジタル一眼レフカメラ「EOS-50D」を始めとした新製品の発表会を開催した。製品紹介やマーケティング解説のあとには、フリーアナウンサーの中井美穂さんを司会に迎えて、俳優の渡辺謙氏と写真家の立木義弘氏のトークショーが行なわれ、会場は大変な盛り上がりをみせた。

ハイアマチュア層の拡大を狙う

はじめに真栄田雅也 キヤノン イメージングコミュニケーション事業本部長が壇上に上がり、新製品の特長を語った。同社は毎年約20種類の商品を発表し、業界ナンバー1を維持しながら着実にシェアを伸ばし続けているという。今年も「EOS 50D」を投入することで、よりシェアを伸ばせると、新製品の自信を覗かせた。

07年の業界のデジタルカメラ出荷台数は、全世界で前年度比+42%の747万台だったとのこと。そのなかで昨年同社は340万台を出荷し、シェアは45%を占めた。今年も市場は成長を続け、プラス17%の880万台に達すると予測。そこで今年は440万台、シェア50%を確保し、確固たるトップシェアの座を築きたいと語った。そのためには一眼レフユーザーのすそ野の拡大、デジタルフォト文化の中核を担うハイアマチュア層の拡大を図ることが重要だと分析した。

今年の同社は、上半期の3月に「EOS Kiss X2」、6月に「EOS Kiss F」という2機種のエントリーモデルを発売した。これらの機種により、ユーザーのすそ野を広げてきた。そのうえで、Kissなどからのステップアップを考える人や、ハイアマチュア層に向けてミドルクラスの50Dを投入。成熟した一眼レフ市場に向けて、下半期はミドルクラスを強化していくと語り、従来モデルの「EOS 5D」、「EOS 40D」に50Dを加え、今後はミドルモデル3機種でラインナップしていくという。また、モデルは明言しなかったが、年内には一眼レフカメラをさらに1機種を市場に投入すると発表した。

真栄田雅也 キヤノン イメージングコミュニケーション事業本部長

発表された50Dと、交換レンズ「EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS」

50Dの左側面。ハイビジョン対応テレビ向けインタフェースとしてHDMI端子を備える

50Dの右面。外装カバーなど、電池室やカード挿入口などに集中的にシーリング処理を施した

50Dの背面。約92万ドットの3型液晶モニターを搭載。左上部にはライブビューのボタンを備える

50Dの上面。モードダイヤルには、新機能「クリエイティブ全自動(CA)」モードが追加された

ライブビュー撮影はコントラスト検出式を追加。「顔優先ライブモード」では、主要被写体のみに顔検出枠が表示される

顔認識のデモ。「顔優先ライブモード」では、主要被写体にしか枠が表示されないが、実際には35人までの顔を検出している

50Dの構成パーツ

ターゲットユーザーは団塊の世代

続いて佐々木統 キヤノンマーケティングジャパン コンスーマイメージカンパニープレジデントが壇上に上がり、国内市場におけるマーケティング戦略について語った。08年上半期を振り返ると、他メーカー含めてエントリーモデルの発売が多く、一眼レフカメラ全体の出荷台数62万台の大半はエントリーモデルであったと推測。同社もKiss X2とKiss Fというエントリーモデル2機種体勢で推し進めてきた。下半期はミドルクラスを強化するため50Dを投入したと解説した。

50Dはメインターゲットを本格志向のエントリーユーザーとし、いわゆる団塊の世代を中心にしている。キヤノンはミドルクラスが弱いといわれてきたが、昨年発売した40Dは前モデルの「EOS 30D」に比べて同期間の売り上げが3倍に伸び、かなり巻き返してきたとのこと。さらに両モデルのユーザーを比較すると、50歳以上が5%増えていることから、団塊の世代の購入者が40Dの販売台数を伸ばした一因であるとした。また40Dは、発表当時から団塊の世代をターゲットとしており、その狙いが当たったと確信したと語った。

50Dのキャッチコピーは「私に応える正統」。広告戦略としては、40Dに引き続き俳優の渡辺謙氏をコミュニケーションパートナーに迎えた。渡辺氏を採用した40Dの広告宣伝効果は、商品興味喚起、CM好感度、商品購入意向ともに50%を超え、大成功だったと評価した。今後、9月中旬まではKiss X2を中心に展開するが、9月下旬からは50Dを中心にキャンペーン活動を行っていくという。

続いてコンパクトデジタルカメラの販売戦略について語った。今回発表された機種はPowerShotシリーズのモデル。PowerShotのラインナップは、本格的な撮影機能を搭載したPowerShot Gシリーズ、高倍率ズームを搭載したPowerShot S/SXシリーズ、ベーシックなAシリーズに、新たに個性的なデザインのEシリーズを投入し、計4シリーズで展開する。今秋は薄型モデルのIXYシリーズ以上にPowerShotに力を入れていくと語った。

現在、コンパクトデジタルカメラ市場は低価格化が進んでおり、3万円未満のモデルが70%を占めているという。今後3万円の以上モデルも投入していくが、まずは3万円未満モデルの充実がキーになると語った。また、このクラスのユーザーニーズとして「簡単な操作」、「単3形電池対応」、「画素数」、「手ブレ補正対応」があり、さらにそのうえでデザイン、サイズ、カラーがあると定義。それらにすべて応えるモデルとして、今回「SX110 IS」、「A2000 IS」、「A1000 IS」、「E1」を投入するとした。

また、同時に発表された「SELPHY(セルフィー)」は、一眼レフカメラからカメラ付携帯電話などの写真を、より簡単に自宅でプリントする写真専用のコンパクトプリンターで、インテリアにも似あうデザインとされた。今回発表された2モデルは、従来の簡単操作の「CPシリーズ」とは異なり、高機能タイプの「ESシリーズ」と位置づけられた。マイクロSDスロットを初めて搭載し、カメラ付携帯電話のプリントニーズにも対応できるようにした。

最後に同社の08年の国内シェアを、一眼レフカメラで45%、コンパクトカメラで20%、コンパクトフォトプリンターで45%を目標に掲げ、すべてにおいてNo.1の座を獲得することを目指していくと語り、締めくくった。

佐々木統(おさむ) キヤノンマーケティングジャパン コンスーマイメージカンパニープレジデント

2008年の一眼レフ市場は、128万台になると推測

ミドルクラスが弱いといわれてきたキヤノンだが、40Dではかなりのシェアを伸ばした

新製品のPowerShotシリーズ4モデル

コンパクトデジタルカメラのラインナップ別チャート

コンパクトデジタルカメラは、低価格モデルの需要が約7割を占める

ベーシックモデルには、簡単な操作性、単3形電池、画素数、手ブレ補正が求められる

コンパクトフォトプリンターSELPHY ES30(左)とES3(右)

08年は、一眼レフ、コンパクトカメラ、プリンターの全てでNo.1を狙う

少年のような顔を見たら撮らずにはいられない

続いて中井美穂さんに司会が代わり、俳優の渡辺謙氏と、カタログやポスターなどのグラフィックを担当する写真家の立木義弘氏のトークショーが行われた。

始めに50DのCMメーキング映像が流された。CM撮影は北海道のトマム(苫鵡)で3日間行われた。渡辺氏と立木氏は古くからの付き合いで、渡辺氏が1987年のNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」に出演したときにポスター撮影を担当したのが立木氏だとのこと。渡辺氏は「身にまとった鎧が放射線上に光りかがやいて、すごい独創的な素晴らしいポスターを撮っていただいた。そのポスターのプリントを今回の撮影のときにいただいた」と撮影を振り返った。

立木氏は今回の撮影にあたり、カメラ好きの渡辺氏という設定だったので、カメラに夢中になっている少年のような表情を狙ったという。被写体である渡辺氏も普段からEOSを愛用しているので、撮影中に自身を撮影する立木氏を撮影していたらしい。渡辺氏は、「立木さんは撮影しているとき、すごく楽しそうに少年のような顔になる。そんな表情を見ていたら、撮りたくなってしまう」と笑いながら語った。すると立木氏が、「僕が撮る前に、先に僕が撮られる。そんなの競ってもしょうがないが、先にシャッターを切られると不思議と負けた気になる。だから、西部劇のように相打ちのようにお互いを撮影しあっていた」と、撮影の裏側を語ってくれた。そんなカメラ好きの渡辺氏は、おそらく年末にアフリカに行くことになるので、50Dを持って行くことがいまから楽しみだと語っていた。

左から立木義弘氏、渡辺謙氏、中井美穂さん

人物を撮影したら、その人に写真を贈って楽しむのも上達に繋がると語る立木義弘氏

撮影中の出来事を楽しそうに語る渡辺謙氏

撮影・レポート:加藤真貴子(WINDY Co.)