現在発売されているクリーナーは、その多くは形状からキャニスター型(ノーマルタイプ/横型)、縦型(スタンドタイプ/スティックタイプ)、ハンディ型に分類される。そのほかに、ロボットタイプや肩掛けタイプの製品もあるが、現在、普通に入手できるロボット型のクリーナーはiROBOTの「ルンバ」ぐらいであり、また、肩掛けタイプも東芝の「エスカルゴ」ぐらいしか存在しない。

掃除機の形状によって、ある程度、得意とする使い道が決まってくる。各タイプの特徴をまとめると、大まかには以下のようになる。

キャニスター型

最も一般的なクリーナー。本体と、延長管、ホース、ヘッドが組み合わされる。標準のヘッドは床を掃除するためのものが搭載されているが、さまざまなアタッチメントに交換することで透き間掃除や製品によってはふとんの掃除などを行えるものもあるなど、汎用性は高い。収納スペースは、後述するスタンドタイプなどよりも多く必要になる。各メーカーのミドルクラス以上のモデルはほとんどこのタイプだ。

三洋電機のクリーナーが採用する「逆立ちブラシ」

広い範囲の移動には、本体を動かす必要があるが、狭い範囲ではヘッド部分のみを動かすだけで掃除ができるため(ヘッドに自走機能を組み込んだモデルも存在する)、それほど力がいらないという特徴もある。

最近発表されたモデルでは、ヘッドの上部にも空気取り入れ口を設け、床上に舞い上がっているハウスダストを取り込む、松下電器産業の「エアダストキャッチャー」、日立製作所の「ごみハンターヘッドα」、ヘッドを交換しなくても狭い場所の掃除が可能な三洋電機の「逆立ちブラシ」など、ヘッド部分の高機能化が著しい。

一般的には、絨毯を中心にした生活環境ではモーターヘッドを搭載したモデルが、フローリングや畳などを中心とした生活スタイルでは、吸気によって回転するタービンヘッドのモデルで十分だ言われているが、高機能なモデルは基本的にモーターヘッドだ。

スタンド型

スタンド型は、本体の床に面した部分にノズルが搭載されている一体型のクリーナー。このタイプのクリーナーは、さらに2種類に分けられる。1つは、キャニスター型と同様にホースがあり、比較的高性能なヘッドが搭載されたモデル。もうひとつは、ハンディクリーナーに取っ手を付けたようなモデルだ。前者は部屋全体の掃除を目的としたものであるのに対して、後者は一定の範囲の掃除を目的とした製品が多い。

前者は、ホースや延長管部分を抜くことで(先端にブラシなどが装備されているケースが多い)、床以外の例えば棚の上などの掃除を手軽に行えるという、ある程度の汎用性を持っている。このタイプにもモーターヘッドを搭載したモデルと、タービンヘッドを搭載したモデルとが存在する。収納時にはハンドル部分を畳むことでコンパクトになる製品が多い。

ただし、このタイプは床の掃除を行う際には必ず本体自体を動かす必要があるため、キャニスタータイプに比べて力が必要だ。また、ベッドの下など本体が入って行けるスペースが無い場所の掃除は、キャニスタータイプに比べて制約が大きい。

後者は、同じスタンド型といっても、より簡易的なタイプだ。その多くは、回転ブラシを持たず、フラットなヘッドを搭載しており、部屋全体というよりもスポット的な掃除を行う目的の製品だ。また、製品によっては、AC100Vではなく、充電池で動作するものもある。これら充電式のモデルでは、15分~20分程度の連続運転が可能というモデルが多い。また、取っ手部分を取り外してハンディクリーナーとしても使用できるものもある。

いずれにせよ、両タイプとも、どちらかというとエントリーモデルという位置付けが強い。

汎用性の高いスタンドタイプ、シャープ「ES-ST7」

スタンドタイプとしてもハンディタイプとしても使える、松下電器産業の「ダスパ」(MC-B80J)。こういったタイプとしては珍しいモータヘッド搭載モデル

肩掛け式

肩掛けタイプの東芝「エスカルゴ」

本体を肩にかけて掃除を行うクリーナー。階段の多い環境や、ロフトのある部屋などでは便利だ。エスカルゴでは、床だけでなくエアコンのフィルターや手元の掃除をするためのアタッチメントも付属しており、スタンド型クリーナーと同程度の汎用性を持つ。以前のモデルでは充電式となっていたが、現行モデルではAC100Vで動作するようになっており、より普通のクリーナーとして使用できるようになった。収納時にはコンパクトにまとめられるが、アタッチメントなどは、本体には収納できない。

ハンディクリーナー/ロボット型

ハンディクリーナーの多くは充電式やACアダプタを使用したり、自動車のシガーラーターソケットのDC12Vを使用する。スポット的な掃除がメインの用途で、部屋全体の掃除には向いていない。ただ、これでしか掃除できない場所というのもあることは確かだ。

見ているだけで楽しくなるクリーナー「ルンバ」

ロボット型クリーナーは床の自動的掃除に使用する。当然ながら、本体よりも狭い場所には入っていけないうえ、バリアフリー環境でなければ、複数の部屋を一度に掃除させることは難しい。ただし、見ている分には一番楽しいクリーナーだろう。ルンバでは、1世代前のモデルから、壁や家具のそばなどを掃除するためのアームが装備されるようになっており、創世期のロボット型クリーナーに比べると、格段に掃除できない場所は減っている。ただし、階段や棚の上などの、床以外の掃除は構造的に無理なので、これをメインのクリーナーとして使用する場合には、ハンディタイプなど、ルンバでは掃除できない場所を掃除するための、サブのクリーナーを用意する必要がある。