静止画と動画それぞれに専用の撮影ボタン
EX-F1の外観は、大きな鏡胴とボディが一体化した、いわゆるハイエンドコンパクトの形状だ。ボディはエンジニアリングプラスチック製だが、表面にはシボ加工が施されていることもあって、安っぽさを感じさせない。しっかりしたグリップを持ち、静止画や動画を撮影する時にもしっかりとホールドできる。
EX-F1の外観の特徴のひとつは、上面に撮影モードダイヤルのほかに、連写ダイヤルが設置されていること。見慣れないアイコンなので最初はわかりにくいが、このダイヤルで「一枚撮影」や「高速連写」など、連写のモードを切り替える。
また、デジタルカメラとしての一般的なシャッターボタンとは別に、カメラを握った時に親指がくる場所に動画用の録画ボタンが置かれている。一般的なデジタルカメラでは、シャッターボタンが兼用している場合が多いが、専用ボタンを新設していることからも、動画撮影の使い勝手を重視していることがわかる。ボタンはビデオカメラでもよく見られる形状で見間違えることもないはず。ボタンを囲むようにハイスピード(HS)、ハイビジョン(HD)、スタンダード(STD)の切り替えスイッチが配置されており、メニューを使わなくてもすぐに切り替えられる。また、録画ボタンとシャッターボタンとは別になっているので、動画撮影中にも普通の感覚で静止画が撮影できる。
動画を除くと一般的なデジカメと操作は同じ
電源ボタンはシャッターボタンの後方にあるが、やや押しづらく、電源ボタンを押してから液晶モニターに画面が表示されるまでに数秒かかるのが気になった。電源が入っていないと思って何度も押し、電源のON/OFFを繰り返したことも何度かあった。ファインダー横の再生ボタン、撮影ボタンが電源オンの機能も兼ねているので、これらを使って起動し、電源を切るときのみ本来の電源ボタンを使うようにするのがよさそうだ。
この原稿執筆中にEX-F1のファームウェア・バージョンアップのリリースが届いた。新しいファームウェア V1.02では起動時間の短縮が図られたとのこと。残念ながら試せなかったが、ファームウェアなどで改良を続けるのは、カメラを長く使うためにもとてもいいことだと思う。
静止画や動画にかかわらず、撮影状態で十字キーを押すと撮影メニューが表示され、画像サイズや画質、フラッシュの使用、ISO感度や露出補正値など、使用頻度の高い各種パラメーターが設定できる。本体のボタン類は少なく、露出補正もこのメニューを使用しなければならない。しかし一度このメニューで設定を変更すると、次回の使用時にも同じ項目にカーソルが合った状態でメニューが開くため、ずいぶん操作の手間は省ける。設定の変更には十字キーのまわりに設けられたコントロールダイヤルも利用できる。コントロールダイヤルは適度に凹凸が付けられており、親指の腹でくるくる回すことができる。こうした細かい工夫が実際の使い勝手をとても良くしてくれる。
鏡胴部横にはボタンが3つ並ぶ。フォーカスモード切替ボタン、AE-L/AF-Lボタンは一般的として、「逆光補正ボタン」がユニークだ。これはダイナミックレンジ階調補正と露出補正が同時に行なわれるというもので、逆光の場合、ワンタッチで切り替えられるのがいい。
液晶モニターはハイビジョン動画が撮影できることもあり、2.8型23万画素のワイドTFT液晶が採用されている。接眼ファインダーは光学式ではなく、0.2型20万画素の電子ビューファインダー(EVF)となる。しかし電子ビューファインダーは画素数こそ23万画素だが、視野が狭く、ファインダー内が滲んで見える傾向にある。したがって、今回の試撮でもブレそうな望遠撮影を別にすると、ほとんどは背面のモニターを使用した。液晶モニターの画質は一般的なものだが、動画撮影時には注視しつづけるものなので、ビューファインダー共々、今後の進化に期待したい。