キーボードは、ThinkPad T60シリーズとほぼ同じサイズの7列配列のフルサイズキーボードが採用されている。文字キーとファンクションキーの間にはスペースが設けられ、さらにファンクションキーが4キーずつグルーピングされている。また、矢印キーは他のキーよりも一段さがった独立レイアウトが採用され、デスクトップパソコン向けキーボードにかなり近いキー配列となっている。普段から頻繁にデスクトップパソコンを利用しているユーザーでも利用時に違和感を感じることはあまりないだろう。

レイアウトだけでなく、キータッチも特筆すべきポイントだ。キーの押し下げ開始時と完全に押し下げた時に指にかかる反発力の差を広めることでクリック感が強調されていることにくわえ、キーのぐらつきが少なく、底付き感もしっかりとしている。薄型ボディながらもキーストロークも意外なほどの深さが確保されていて、まさに名機との呼び声も高かった「ThinkPad 600」を彷彿とさせる硬質なキータッチだ。入力デバイスはユーザーが長時間触れ、その製品の使い心地を左右するもっとも重要な部分なだけに薄型化によってユーザビリティが犠牲にされなかったことは喜ばしい。さらに、キートップにスチレン塗装を施して耐久性と高級感を高めたほか、防滴性能が強化され、排水用の穴を丸形から長方形型に変更することで排水能力を2倍に向上させている。

ポインティングデバイスは、Tシリーズと同様にスティックタイプのトラックポイントとタッチパッドの両方を備えたウルトラナビが搭載されている。昔からのThinkPadユーザーならばトラックポイント、他社製ノートパソコンからの乗り換えならば使い慣れたタッチパッド、デスク上で使うならばタッチパッドを無効にした上でUSBマウスを接続、と3通りの使い方ができるのが魅力だ。このほか、細かい部分だがトラックポイントのマウスボタンに赤と青のラインを復活させて視認性を向上させている。なお、トラックポイントのマウスボタンの右側に指紋センサーが配置されているが、トラックポイントを使う場合に指紋センサーが手にあたって少々気になった。ユーザーの手の大きさやホームポジションによって人それぞれだろうが、トラックポイントを使う予定のユーザーは一度店頭で実機に触れてみて、指紋センサーが邪魔にならないかチェックしてみるといいだろう。

フルサイズの7列キーボード。現時点では国内ラインナップに英語キーボードは用意されていないようだ

タッチパッドのマウスボタンに赤と青のラインが復活したウルトラナビ

液晶ディスプレイは、前述の通り13.3型ワイド、解像度WXGA+(1,440×900ドット)のものが搭載されている。WXGA(1,280×800ドット)液晶パネルが搭載されていることが多い同サイズの他機種と比較すると、画面が上下左右ともに一回り広いのが特徴だ。実際に使ってみたところ、文字の表示サイズが小さくなりすぎることがあるというデメリットもあるものの、ウィンドウを並べての作業が快適な上、1画面で表示できる表計算シートやWebサイトの面積が広くて情報量が多く、WXGA液晶パネル搭載製品よりも格段に使い勝手がよいと感じられた。解像度は作業性に直結する部分なので、特に普段から高解像度のデスクトップパソコンを利用しているユーザーにはこの利便性はなにものにも代え難い利点と感じるに違いない。

液晶ディスプレイについては、ThinkPad独自の管理用ユーティリティ「ThinkVantage」の新機能が見逃せない。一般的なノートパソコンでは液晶パネルを閉じるとすぐにスタンバイに移行してしまうため、デスクから会議室といった短時間の移動の際には液晶パネルを半開きにした状態で持ち運んでいるというユーザーが多いのではないだろうか。液晶パネルを半開きにしたまま持ち運ぶとなると両手がふさがってしまう上、万が一、落としたりぶつけたりした場合に剛性が低く壊れやすくなるという問題が発生する。しかし、ThinkVantageの新機能を使うと液晶パネルを閉じた時にスタンバイに移行する時間を遅らせられるため、液晶パネルを閉じた状態でスマートに持ち運びできるのだ。これは一度使い出すと大変便利で止められず、なぜWindowsの標準機能として用意されていないのかが不思議にすらなってくる機能だ。

ThinkVantageの設定画面から「コンピュータを閉じたときの動作を遅延させる」にチェックを入れると液晶パネルを閉じてもすぐにスタンバイ状態に移行しなくなる