この薄型・軽量ボディは、航空機やF1カーにも使われている、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)パネルに無線LANのアンテナ部のみ非伝導性のGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製パネルを組み合わせた「ハイブリッドCFRPカバー」を天板に採用し、剛性を保ちながらも従来の約半分の重さとなる大幅な軽量化を実現したものだ。剛性については、本体に内蔵されているマグネシウム合金製モノコックフレーム「ThinkPad Roll Cage」のロールケージとキーボードベゼルを一体化させることで、片手で隅を持って持ち上げた時に主要部品にかかる負荷を15%低減させている。たしかに液晶パネルを開いた状態でパームレストの片隅をつかんで片手で持ち上げてみても本体のたわみはほとんど感じられず、液晶パネルを閉じた状態で天板の真ん中あたりを指で押してみてもペコペコとへこむこともなく、薄型・軽量化によって剛性が失われている印象は受けない。薄型ノートパソコンは、カバンの中に入れていても通勤時の満員電車で圧迫されて壊れないか不安になるといった声が聴かれることがとかく多いが、従来のロールケージを上回る耐衝撃性を実現しているため、極端な圧迫を受けない限りは大丈夫と言っていいだろう。

軽量化の工夫はこれだけでなく、基板の中間層をビアホールで結線する新技術、HDI(High Density Interconnect)を利用して基板の小型化と軽量化が図られているほか、液晶パネルにはホワイトLEDバックライト液晶が搭載されている。ホワイトLEDバックライト液晶を採用することで、従来の冷陰極蛍光ランプ搭載の液晶パネルより2.5mm薄く、140g軽くなった。さらにホワイトLEDバックライト液晶は省電力化にも貢献していて、明るさを20%向上させながらも消費電力を25~80%低減させている。

次にデザインを紹介しよう。ThinkPad X300は、従来のThinkPadシリーズのデザインを踏襲し、天板と底面にはともに汚れが目立ちにくく、ゴムのようなさらりとした手触りの「ラバー塗装」が施されている。しかし、伝統的なデザインをそっくりそのまま受け継いでいるわけではなく、天板左下にエンボス加工の「Lenovo」ロゴ、右下に「ThinkPad」ロゴが配置され、黒色光沢仕上げ塗装を採用したデザインメタルヒンジが採用されている。デザインメタルヒンジの採用は、高級感を演出する目的のほかに比較的壊れやすいとされているヒンジ部の耐久性を高める目的もあるようだ。

本体左側面には排気口とUSB 2.0×2、マイク入力、音声出力端子が配置されている

本体右側面からは光学ドライブにアクセスできる

本体背面には電源コネクタ、ディスプレイ出力端子、LANポート、USB 2.0×1が用意されている

本体前面。端子類はなく、液晶パネルのラッチがあるのみだ

黒色光沢仕上げ塗装を採用したデザインメタルヒンジ

ACアダプタはX61に付属しているものと同じだ。重量は本体が235g、コードが70g

液晶パネルを開くと、パームレストとキーボード周りには天板のラバー塗装によく似たラバー風の「ピーチスキン塗装」が施されている。また、パームレスト左右にステレオスピーカーが内蔵され、液晶上部にはWebカメラとキーボードライトが用意されている。さらに、電源ボタン、ThinkVantageボタン、ミュートボタン、Caps LockキーにLEDライトが内蔵され、それぞれ白色、青色、赤色、緑色に光るのが目新しい。

パームレストの両端には上面に向けてステレオスピーカーが配置されている

液晶上部にはWebカメラとおなじみのキーボードライトがある

電源ボタン、ThinkVantageボタン、ミュートボタン、Caps LockキーにLEDランプが内蔵されて光るようになった